諸行無常:シベリウスの交響曲第4番
2008年 03月 12日
この人、もしかしたら、ベートーヴェンやブラームスと違うやり方のソナタ形式で作曲しているのかもしれません。
ベートーヴェンの場合は、先に第一主題というのがあって、それと性格の違う第二主題というのを作って、それぞれを展開部にもっていって加工していくという手法をとっているのですけど、シベリウスの場合は、そのやり方はたぶんやっていない。楽想のコアとなる部分が先にイメージされており、そこから導いて、各主題を作っていっている。だから本来は第一主題、第ニ主題と思っているものが、実は幻であり、影であり、肝心な部分は、展開部に置いている。バイオリン協奏曲の場合、それがカデンツアにあたります。普通は、カデンツアは後から作るもんなんですけど、余程のこだわりがあったのでしょうね。しかもかなり緻密に作られていますね。
こうしたくせがあるから、ドイツ・ロマン派からどっぷりの人が、シベリウスを聴いたときに戸惑うのも無理からぬこと。幻影である主題を追うよりも、コア部分を探す聴き方にチェンジしてみたところ、突然、おもしろくなってきました。
で、難解と言われている交響曲の第4番に挑戦。この曲に関しては、最高傑作という人もいれば、駄作という人もいて、評価のレンジが広くわかれるところですけど、私的には、シベリウスの作品でもっとも奥深く、そして作曲技法的にも優れた作品ではないかと思いはじめています。
この曲を最初に聴いて、わからなかったら、他の楽章をとばして、第4楽章から聴けば、そこに曲としての大きなコアがあるので、理解がしやすくなると思います。第1楽章は夜明け前のイメージですが、第4楽章は雪が積もったあとの明るい昼のイメージです。そして第1楽章にもどり、さらに小さなコアも探す。そうすると、第2、第3楽章の推移もみえてきます。
でも、形としてのコアの構造がわかったからといって、音楽がわかるようになるわけではないので、このコアを割ってみましょう。この作品には、『人の存在、魂の孤独』というものが含まれています。これは、自分からそれを見てみようとか、聴いてみようとしなければ、気づくことができません。無の存在を感じさせる深遠なる作品。
これが、どういうことか私の文書力では、うまく表現できないのですが、KiKi さんという方が、とてもうまく書いてくれているので、以下リンクしておきますね。クラシック音楽のすごさというものがわかるというものです。
惚れ直しました。シベリウス。この曲の実演があるのであれば行くことにしましょうか。
●リンク
落ちこぼれ会計人の Music Diary