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クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

小学校最強オケを聴く

 本日、谷津小学校のファミリーコンサートにいってきましたが、マナーが悪くて集中して演奏を聴けなかったのが残念。クラシック音楽に興味のない人もたくさんいるなかでの家族ともどもアットホームな雰囲気なコンサートなので、完璧なマナーは期待していなかったのですけど、それでも騒いでいる小さなお子様を外に連れ出すくらいはできないものなんですかね(苦笑)。放送予定のはずだし。

それと、親さんたちの録画機材や携帯録画は邪魔。迷惑だし、いつからコンサート会場に録画機材を持ち込んで良いことになったんですかね。こんなところを放送されるとしたら、とても恥ずかしいですよね。小学校レベルを遙かに越えた演奏しているのですから、もう少し真剣に聴いてあげたらと思ったわけです。



クラシック音楽というのは、あるメロディが出現したらその推移、展開を見守って聴くことが要求されるので、それゆえに敷居が高いこともあるかもしれないです。でも、非常に臆病な魚とか、鳥とか、動物を注意深く観察するときには、騒いだりはしないですよね。それと同じことです。静かに集中して聴くことができるのであれば、音楽の主題が自然と心に問いかけてくるようになります。これがクラシック音楽の醍醐味なのです。

ということで雑音と楽音を分離しながら聴いていてかなり疲れたので、曲の感想は武満のファミリー・ツリー(系図 若い人のための音楽詩)のみとします。

この作品、小学校でやるには、遙かに超越しているというか、超冒険。その難しさにプロオケでも取り組むのに躊躇する繊細な曲。速いパセージこそないのですが、かなり柔らかい美しい音をださないと音楽にならない。猛者ぞろいの東京のアマオケでもよっぽど繊細さにおいて自信がないとできないですよね。特に弦楽器の特殊奏法であるフラジオレットの扱いが難しい。

 それでも、あえてプログラムにのせるという意気込みを買ってこのコンサートにいったわけです。アンサンブルが不安定になるところとか、ミストーンも当然のようにあったのですが、それでも何とか曲として仕上げてこれたのは驚異的。ここまでに仕上げるには、演奏技巧上の努力もさることながら、曲と詩の内容を奏者一人一人が理解していなくてはならず、かなりのディスカッションが先生と生徒の間でなされいるように感じました。武満の場合は、ベートーヴェンやブラームスと違ってセイ〜ノで合わせるところがなく、各人バラバラで出てきて、後半のハーモニーで揃えていくと難しさがあるので、かなり細かく、ダイナミックスの制御ができないといかんのですけど、これは何とかなっていました。あと、ぜいたくをいうなら打楽器、特にスティールドラムにもう少し繊細さがほしかった気がします。もっと弱く、水面を波立たせる風が吹くように叩ければよかったのですが。

 さて、この曲の最大の聴きどころである語り。今回は待望の10代半ばの少女というスコアの指定より更に若い小学校の生徒さん。
 実際、こうして聴いてみると、ピュアーでいて、力強く、最初の出だしの「むかしむかしわたしがいた すっぱだかでめをきょろきょろさせていた。」という部分を聴いたところで、何か涙が出そうな気がしました。女優さんの語りも悪くはないのですが、どうしても声に演技が入るところが気になっていたのですが、そんな演技などいっさいない汚れ無き少女の声。しかも堂々とした声で。今まで聴いたなかでは、圧倒的にすばらしいでき。ミッチーをはじめ、日本トッププロは、この子の声で録音してほしいですね。この曲のベスト盤間違いなしです。

そしてアコーディオンのけなげなソロ。よかったですね。

●オケ評価(武満の曲は除く評価)

 すごい小学校オケとのことで、どこまですごいのか、もしかしたら社会人アマのダスビよりもうまいのかと思ったのですが、そこまですごいということはなかったことに、正直ホッとしています。

 感心したのは、金管楽器、木管楽器の安定度合い。アマオケだと、決め所でのミストーンが気になるところなんですけど、ほとんどそういうことはなし。特にホルンはよかったですね。このくらいの小さいときからクラシックの曲に慣れておけば将来が楽しみです。弦楽器の場合、さすがにいろいろ。ボーイングで苦労している子もいれば、ばりばり弾いている子もいる。でも弦楽アンサンブルは大きく崩れることなく、立派に演奏できていたので感心。ビブラートも一生懸命かけようとしているところも、何か可愛いですね。特に体が小さいのでコントラバスの子は楽器を支えるだけでも大変でしょうけど、よくがんばっていましたね。
 打楽器は、オケとのバランスを考えて、適度な音量で叩いていたのが好印象。欲をいうなら静かな部分で、ただ叩くだけではなく、音符の意味を考えた演奏をしてもらえるのならなおよしですね。
 
最後に、小学校最強オケといわれている実力は堪能できたので、観客のマナーも最強であってほしいですね。
by ralatalk | 2008-02-17 19:48 | コンサート