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クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

ムラヴィンのDVD

日曜日に新宿に行く用事があったので、ついでにHMVを視察にする目的で寄ったの
ですが、話題のショスタコDVD「ヴィオラソナタ」があったので、購入しようと
したら、
「今ならDVDを2枚買うなら2割引ですよ。1枚だと1割引きにしかなりませんよ。」
てな誘惑的なシールが貼ってありました。
「う〜。これは罠からもしれんが、虎穴に入らねば虎児を得ずだ。」という訳の分からん言い訳でムラヴィンDVDも同時に購入してしまいました。

いつものことながら、こんな単純な戦略にひっかかってしまうのも我ながら...。

さて、ショスタコDVDの方は、フランス芸術映画のような感じで、マニア向け過ぎて今一おもしろみが薄かったのですが、ムラヴィンのDVD。これはすごいというか感動しました。
以下のDVDには、噂に聞く、レンフィルとのムラヴィンの猛稽古が収録されています。

「ムラヴィンスキーとレニングラード・フィル50年の歴史」



それにしても鬼です。ムラヴィンは。

ブラームスの2番の4楽章の冒頭、数小節くらいで、いきなり駄目出しの嵐。
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「音が大きい。」(もう一度)
「メゾフォルテ?なぜ?」(もう一度)
「静かに。もっと落ち着いて」(もう一度)
「テンポが変わるぞ。小節ごとに速かったり遅かったり。各主席はきちんと調整して」
(もう一度)

音符の一音一音に対して音量と音符の長さに、これほどまでに細かい指示を出しているとは。。。。

「これでは曲が終わらんですよ、マエストロ」と言いたくなるような厳しい駄目出し。

ムラヴィンの音楽に捧げる情熱は、すさまじい。

これが、20世紀最高の合奏能力と讃えられるムラヴィンとレンフィルの稽古の姿なんですね。正直、ここまで細かくやっているとは思ってもいなかったのでびっくりです。

本番での指揮は百戦錬磨の武将のような威厳があります。ムラヴィンはゆったりとした指揮なのですが、一振りして、音を聴き、納得しつつ次の一振りといった感じです。
特にここぞというときの左手の動きもすごい。
 一途乱れぬ弦の張り詰めたきざみに、木管がからみ、金管が吠え、打楽器群が
どかどかとなり出す。
 
特に感動したのは、ブラームスの4番の最終楽章の練習風景と実演。

「弓を運ぶたびに間が空きますね。そこで余計な時間がかかるのです。
四分音符が遅れていますよ。正確に演奏すること。」

「警告します。ここを全員でぴったり合わせてはいるのは難しい。
でも音楽の頂点だから絶対に合わせねばならないですよ。
2拍目にアクセントを置くことで確実に調整してください。」
(私には演奏がずれているとはわからないレベルなんですけど〜。)

スフォルツァンド!!
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と壮絶な指示を繰り返すムラヴィン。怖いぞ。

この気迫のままに、演奏会に突入。
b0046888_0295476.jpgムラヴィンの指揮した4楽章のこの部分。すごい。細かく各楽器のパッセージをダイナミックスを付けながら、大胆なフォルテ。ブラームスの書いた各レイヤー層がくっきりと浮き彫りにされ、それでいて大胆。かつ乱れないアンサンブル。ブラームスの4番はいろいろな指揮者で聴いてきましたが、これほど、緻密にして、音楽に魂をこめた強靭な演奏は聴いたことがないです。
 カルロス・クライバー、ヴァント、ヨッフム、フルトヴェングラー、ワルター、トスカニーニ、ジョージ・セル、バルビローリ、チェリビダッケ、クレンペラーの各種名盤のはるか上を行く、至高の演奏。胸の勲章もかっこいいですね。
 
 うむ。やはり、ムラヴィンは20世紀最高の指揮者として、世界中のマニアの心を鷲掴みにしているのはよくわかります。21世紀中では、この人を超える壮絶なクラシック演奏は無理でしょうね。ムラヴィンを超えるには、ムラヴィン以上に長時間にわたる猛練習ができる環境がなければ無理というものです。

 昨今のプロオケは、演奏技術も向上しているので、ブラームスやベートーヴェンの定番曲の場合、適当に演奏している場合が多いのですけど、本当に感動したいのなら、技術には問題はありますけど、アマチュア・オーケストラを聴きに行く方があたりの演奏に合う確率は高いですね。

 ムラヴィンの演奏は、アマオケの情熱とプロオケの技術の良いところが融合した希有の音楽。

早速、ブラームス全集をポチとしておきますかね。
by ralatalk | 2007-10-20 00:36 | 音楽エッセイ