リリー・ブーランジェの祈り
2007年 09月 01日
特に、お気に入りは、連作歌曲の「空のひらけたところ」という曲。この題名については、いろいろ難しい問題があるとのことで斉諧生さんがホームページに書いておられます。私は、空のひらけたところにある先は、天国で、その先をリリー・ブーランジェには、見えていて曲を書いているのではないかと思ったりしております。
それにしても、このレベルの作曲というのは、もはや技法がどうのこうのということははるかに超越していて、バッハやブルックナーなどの大作曲家が晩年になってようやく辿り着いた境地の世界を、わずか、21歳で書きあげているのですから、驚嘆するしかないです。
それとこの曲の後に書くことになる、
「詩篇第130番」 、「悲しみの夕べに」、「ピエ・イェズ」。もう、何といったらよいのでしょう。天才という言葉すらが、とても安っぽく聞こえてしまうくらいに神憑り的。天からの啓示をうけて作曲している気さえします。
特に「詩篇第130番」に関しては、暗黒の世界から徐々に光が差してくる感じが最高にすばらしく感動的。
クラシック最高曲とも呼ばれているバッハのマタイ受難曲の領域の近くに、ひょっとして到達しているのかとも思ったりもしています。いかんせん、出ているCDの演奏レベルが貧弱でこなれていないため、簡単には回答できない状況です。サイモン・ラトル/ベルリンフィルとか、バレンボイム/ウェスト・イースタン・ディヴァーン・オケとかがやってくれれば、超名曲への仲間入りが確定したも同然です。特にバレンボイムは、お姉さんのナディア・ブーランジェの弟子ですし、平和への祈りの意識がとても強いマエストロなんで、かなり感動できる演奏が期待できそうなんですが、無理そうですかね。
とりあえず、国内で取り上げてくれそうな、希有なマエストロは、シャルル・デュトワか井上道義さんくらいなもんでしょうけど、演奏してもらえるなら、かならず行く所存であります。