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クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

大傑作:ミヨーのバイオリン協奏曲第2番

 バイオリン協奏曲というのは、CDでは、いろいろと演奏をごまかせるし、バイオリンの音はCDでは高域の方が捉えきれないので、なるべくコンサートで聴きたいところです。でもいかんせん、肝心のコンサートがメン・チャイ・ベト・ブラばっかりで、たまに、ブルッフ、シベリウス、バルトークくらいしかやっとりません。日本人演奏家や来日してくるソリストはたくさんいるのに、賞味期限の切れた狭い範囲でのお芸術、悪く言えば「お稽古」の延長につき合わされるのは少々うんざりです。

 ソリストたるもの音楽的に高い理想の追求と、バイオリン・レパートリーの拡大は重要だと思うのですが、このところで積極的にやっている人は、ほとんど少数派。クライスラーとか昔のソリストは作曲までやっていたのですけどね。資本主義経済化では難しいところがあるのはわかるのですが、もう少し何とかならんのかとは思います。また、演奏会で1回やって、「はいそれまで。」というのも困るのですけど、演奏会の形態が今の世の中には合っていないのかもしれません。



 最初にソリストに各曲の一部を弾いてもらって、客の投票でその場で曲を決定するというコンサートがあってもおもしろいと思うのですけどね。
 
 今回は、コンサートで取り上げてほしい、飛び切り高い芸術レベルにあるバイオリン協奏曲として、ミヨーのバイオリン協奏曲の第2番を取り上げたいと思います。

ミヨーという人は、作曲家のなかでは、かなり評価の高い人なんですけど、いかんせん一般の人には人気薄です。フランス6人組のリーダーであるということくらいは知っていても、「代表作を3つあげよ」とか言われてしまうと、困ってしまう人もたくさんいると予想できます。
まあ、400曲以上も曲を書いている多作家であるというのも全体を見え難くしている一因なのかもしれません。私は、彼の交響曲を全部一通り聴いたのですけど、印象はというと薄いですね。非常に器用で洗練されていて音色使いが豊かなので、あれこれと手を入れ過ぎてしまう結果、交響曲としては主張する部分が弱くなっています。

本質的にこの人は室内楽に向いている作曲家ですかね。室内楽だと楽器が限定されるため音色パレットが丁度良い具合になるように思います。

ということでオーケストラ曲に関しては、あまり期待していなかったのですけど、大ビオラ奏者のプリムローズが、彼のバイオリン協奏曲第2番をべた褒めしている文書を見つけて、これはもしかしたら大傑作なのかもと予感がしたので、CDを購入しました。結構探していたのですが、最近、良いCDがでました。これです。
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本来、こんなジャケットならハズレの予感がして買わないところなんですけど、ミヨーということで購入。結果は大当たり。このシュタインバッハという女流バイオリニストはちょっとした大物ですなあ。美探先生にもお聴かせしたところ、技術的にしっかりしており、音色もなかなかとかなり褒めておられたので、やはり本物なのでしょうね。

さて、曲の方ですが、ミヨーにしては、めずらしくシリアスな曲調で、内面性が豊かで深みのある作品。少し気になって、調べてみたところ、曲が書かれたのが第二次世界大戦が終わったころで、たくさんの友人が亡くなったことが影響しているとのこと。ラヴェル先生でいえば、ピアノ三重奏曲、クープランの墓、左手のための協奏曲にあるような、フランス人独特の死んだ人達を乾いた涙で、静かに見つめながら送り出すといった深い感情を感じます。

曲は、3楽章形式で、1楽章がドラマティーク、2楽章が陰鬱なレント、3楽章がアンポルティ(夢中になっての意味ですかね。)。

第1楽章は、弱音でティンパニと低弦、金管のダークなロングトーンで入った一拍後にいきなりバイオリンソロが出てくるというモダンな入り方。ここは、なかなか惚れ惚れとします。バイオリンソロの後は、少し重いマーチ風に展開、これに引きずられてソロバイオリンもギャロップ風のリズムでつなぎます。やがてカデンツアーに。これが終わると冒頭の重めのテーマが戻ってきて曲が終了。8分くらいの楽章ですけど、かなり短く感じますね。

第2楽章は、かなり暗い感じの瞑想的でゆったりとした曲調で入りますが、徐々に明るい響きになったり、急に暗くなったかと思うと、明るい響きにもどったり陰鬱感が絶妙です。中間部はカンタービレですかね。このカンタービレ部分は、光の明暗和声とでも言うべきか、和声的にすごいことをやっています。バイオリンソロの聴かせどころです。悲しみに耐える人の複雑な感情を表現しているのかもしれませんね。

第3楽章は、軽く明るく、リズミカルに技巧的に展開。バイオリンソロは常に弾きぱっなしで、かなり難しいらしくて、ミヨーの友人達は、パートの削減を要求したらしいのですけど、ミヨーは受つけなかったらしいですね。まあ、聴いている分には、それ程、難しいとは感じないのですけどね。この楽章は、ラヴェル先生のピアノ協奏曲とも雰囲気が似た部分がありますね。終わり方がみごとです。

全体的に曲が、無駄なパッセージがなくきびきびと進行しているのが好印象ですね。ソリストにとってもかなり表現の幅が取れると思いますので、いろいろな演奏家で聴いてみたい曲です。
by ralatalk | 2007-05-03 00:37 | バイオリン協奏曲