松村禎三:ピアノ協奏曲第1番
2007年 01月 04日
さて本年最初のコンサートは、以下に決定しております。
2007年1月19日(金)19:00~ 東京文化会館大ホール
【指揮】
下野竜也
【出演】
野平一郎(ピアノ)
【管弦楽】
東京都交響楽団
【曲目】
- 松村禎三:管弦楽のための前奏曲(1968)
- 松村禎三:ピアノ協奏曲第1番
- オネゲル:交響曲第5番〈三つのレ〉
- ミヨー:ディヴェルティメント〈ケンタッキアーナ〉
目玉は、もちろん松村禎三のピアノ協奏曲第1番です。
この曲は、クラシック音楽の中でもダントツに優れた作品の1つであり、個人的にも大変尊敬している作品です。とにかく圧倒的なスケールと生命力!。この曲を聴くとブラームスの第二番のコンチェルトがすごくショボク聴こえてしまうというくらいのものです。それどころかマーラーの第6番を凌駕するかのスケールですね。
曲想も素敵です。西洋音楽を真似ず、純日本的なものを目指した潔さ。日本海の荒波のように荒れ狂う曲なのですが、聴いた後に、心の垢がすっきり落ちたかのような、魂が浄化された感じになるのが不思議です。ドカチン系現代音楽は随分、聴いてきましたけど、魂が浄化されるという境地までに達している作曲家は、唯一、松村禎三氏のみですね。他に、メシアンなんかもこんな感じがするときがあるのですが、原始?キリスト教的な宗教観ということで少し違和感もあります。松村さんの場合は、仏教的、曼荼羅的ですね。
私は、協奏曲というジャンルに期待する基本コンセプトとして、独奏楽器とオーケストラが真っ向から対決するという感じの曲が好きなのですが、この曲はそれの最も極みです。大オーケストラとピアノ1台の真っ向勝負が見もので、ピアノはまるで修羅の道を祈りながら旅するというもので、一歩間違えば地獄の谷底。この緊張感を持続しつつ単一楽章で30分間を緩むことなく弾き通すというピアニストにとってもかなりの精神的な負担がかかる大曲中の大曲。
※私は、この曲を阿修羅コンチェルトと呼んでいます。
並みのピアニストでは、弾き切ることはかなわず、ここにやはり野平一郎のような優れた洞察力と体力のある人でないと持ちませんね。
それにしても、地獄めぐりのような超ハードなプログラムです。松村禎三の後にオネゲルの5番ですか!。4番くらいで手加減してほしいところです。果たして、漆黒の闇に輝く星を見ることはできるのでしょうか?今からどきどきです。大変なことになりそうですね。