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クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

ダリウス・ミヨー「4つの顔」

昨日、おもしろい夢をみました。
やわらかい日差しの海岸の砂浜でバイオリンとチェロの二重奏を外人さんが燕尾服を着て演奏していたのですが、バイオリン奏者は寝そべって笑いながら演奏していたのです。その姿は、まるでトーチカで機関銃を撃っているような感じです。
こんな格好で演奏できるのかとびっくりしながら聴いていました。曲名に関してはわからなかったのですが、古典派以前の曲のようで結構軽快な曲想でした。

さて、夢の話はここまでとして、日曜日に行って来た弦楽器フェアのビオラ試演会のことを書きます。



弦楽器フェアでは、プロ演奏家による各製作者が作った弦楽器の試奏が行われるのですが、今回、注目していたのがビオラです。ビオラを生ソロで聴いてみたかったからです。演奏者は、川本嘉子さん。どっしりとした体格の女性でビオラを弾くには不自由しない感じです。それでもビオラの場合、サイズがさまざまなので、いろいろな楽器を試奏するのはそれだけで大変なことだと思いますので、1時間あまり10丁のビオラを弾くというのは、すごいことです。お疲れ様です。しかもどの曲も難曲です。

この演奏によって、私のなかでビオラという楽器の音色とか演奏の特徴とかずいぶん変わりました。演奏が立派なものであったので、ビオラもソロ楽器として十分やっていけるのだなあという感じです。

バイオリンとの違いは、少し発音が鈍くなり、アタックが緩い。このためサスティーン音はふくらみ加減になる。また弓を返す音がガリと聞こえる。製作された楽器の特性によるとは思うのですが、各弦のバランスが低音よりになるものと高音よりになるものがある。特にC線と他の線のバランスが崩れやすい。
 こう記述してしまうと如何にも良くないように思えてしまいますが、聴覚上不快というレベルではなく、こうした楽器本来の特性と演奏者の折り合いのつけ方がこの楽器での演奏ポイントになるのでしょうね。つまりビオラはバイオリン以上に演奏者を選ぶということですか。

さて、演奏の曲目で今回、特に気に入ったのがダリウス・ミヨーの「4つの顔」という曲。ビオラのレパートリーは、以外にも少なく、バイオリンの曲を完全5度下に移調した編曲譜を使う場合が多いのですが、これだと本来のこの楽器の良さは引き出せないように感じました。その点、ミヨーのこの曲は、もともとビオラ用に作曲されているため、楽器の使い方で随分と教えられることが多かったです。

 各楽章のタイトルもおもしろいですね。絵画につける題名みたいです。それとも作曲者のご趣味ですかね。

1.カリフォルニアの女
2.ウィスコンシンの女
3.ブリュッセルの女
4.パリの女

とにかく和声感覚がかなり独特で、《裏切りのコード進行》というものでしょうか、予想していたところの裏をかくセンスが絶妙です。何か女性の移り変わりやすい感情を表現したような感じです。割と曲は、軽めに書かれているのですが、作曲年は、1943年なので、何と第二次世界大戦中で、しかもフランスはナチ占領下にあったはず。何かいろいろと謎があるような気がするのですが、どうでしょうか。少しひっかかるところがあります。
この時代、ミヨーは、ビオラソナタ第1番Op.240(1944)と第2番Op.244(1944)も書いているので、何か演奏者との特別な関係があったのかもしれません。
後、作品表を見ていて思ったのですが、4つの~という作品がいろいろあるのですね。たぶんフランスの定型詩の関係からでしょうからね。

1.4つのスケッチ Op.227b(1941)
2.2台のピアノと4つの打楽器のための協奏曲Op.394(1961)
3.4つの無言歌(ピアノ曲)
4.カチュルの4つの詩Op.80(1923)[独唱,vn]
5.レオ・ラティルの4つの詩(歌曲)
6.バリトンのための4つの詩Op.26
7.ロンサールの4つの歌

 とにかく、「4つの顔」は結構、お気に入りなので、楽譜を購入して研究してみることにしますかね。

追記:

 最近、アニメの主題歌で、はちゃめちゃな転調しまくりのコード進行の歌を聴きましたが、聴いていて気分が悪くなっちゃいました。しかもピッチ・シフターで音程を平均律に矯正しているのでハーモニーが無残です。歌い方も声楽の基礎がまったく無視されており、ひどいものです。 ご本人様は才能だと思っているのでしょうけど、無知のなせる技です。
なぜこんな曲が作れるのか根本原因はわかっています。高機能シーケンサーソフトとサンプラーに頼りきった製作の行き着く先は、音楽の墓場でしかありません。早くこれに気がついてほしいものです。プロのアレンジャや作曲家になるのなら弦楽器はかじっていた方が良いです。遠回りのようでいて、それが良質の音楽をつくる近道です。
最近、音楽の持つ本当の美しさがわからないし、知りたくもないような人が作っている作品が、商業音楽の世界で増えていますけど、それ程、売れる事が大事なことなんですかね。なんか大事なものが忘れ去られているように感じます。
by ralatalk | 2006-11-09 18:09 | 音楽エッセイ