弦楽器フェアに行ってきた
2005年 11月 05日
弦楽器フェアでは、国内外の弦楽器制作家のバイオリンの試奏と、プロ演奏家による演奏も聴けて、すごく楽しませていただきました。
2005年の新作バイオリンということで、まだ生まれたばかりの赤子のような楽器達です。全体に感じた印象としては、どのバイオリンも明るく健康的な音が鳴っているなあという感じです。それにさすがに新作ということでニスもピカピカでとても美しいものでした。これからだんだんと古くなってくると各楽器の個性が徐々に出てくるのですね。
今回の楽しみはプロ演奏家による新作の試奏会でして、奥村智洋さんの演奏でチャイコフスキーの小品を弾きつつ、各制作者のバイオリンの音くらべをするというものでした。2回の試奏会で、16台のバイオリンが試奏されました。こちらも気合い十分で、いつもの10倍の集中力で試奏聴かせてもらったんですけど結構くたくたです。コンクールの審査員なんかになるとかなり大変な作業になるんでしょうね。
試奏会で印象に残ったバイオリンは、陳昌鉉さん、橋本剛俊さん、MrフォーさんとMrリーさんの共同作品でした。
陳昌鉉さんのバイオリンは、高域に非常に薄いベールがかかったような音で、独特でした。実際手にしてみたところかなり軽く感じるバイオリンで、とても弾きやすかったです。音的には私の好みですね。
橋本剛俊さんのバイオリンは、新作くささの少ない、よりバイオリンらしい音。まだまだ弾き込むことによって音が良くなって来そうという期待を持ちました。
MrフォーさんとMrリーさんのバイオリンは、ドイツ的でどっしりとした感じで、重厚感がありました。
後、本日の試奏会の方にはでていなかってのですけど、松本伸さんのストラディバリウスの装飾バイオリンをコピーしたバイオリンも音もやわらかく良い感じでした。作りがものすごく丁寧だし、音も良い。個人的にほしいですね。
※コピーといっても少し装飾はアレンジしているとのことでした。
いろいろ見させて頂いたのですけど、このクラスのバイオリンになると、どれもしっかり作られているので、後は自分の音の好みとか、フィーリングが合うかどうかということになるのでしょうね。
追記:
プロ演奏家による試奏会なんですけど、これだけ演奏していただいても、楽器の性能のほんの一部しか評価できないのですね。弓、弦との相性、楽器の調整具合、演奏者との相性とかいろいろありますからね。本当に奥深い世界です。
奥村智洋さんによると、バイオリン選びのポイントは、各弦のバランスと速く弾いたときの音の立ち上がりにあるそうです。