我が理想のバイオリンを入手
2005年 10月 17日
このような楽器をよくもまあ前のオーナーは手放してくれたものです。私にとっては、かなりの価格でしたけれどもこんなところで躊躇していては、一生後悔すると思って購入しました。
作者は、Jens G.Johanssonさんという若手の作家で、この人の音にかける執念とアイデア、高い技術力にほれぼれするものがあります。伝統的な技法に甘んじることなく楽器を革新してやろうという強い意志。私はこのバイオリンを最初に手にしたときにそのことを直感しました。もうほとんど一目惚れでした。
甘い音で鳴りもすばらしく、神秘的で深みもある。スケールなんかを早い速度で演奏するとシルクのようにきらきら光っている感じで何とも神懸かり的な音です。とくにA線、E線のなりが抜群で、A線を弾いていると自分の胸が共振しているような感じ、E線も非常に高い倍音まで聴こえており音抜けがいいです。
この楽器を購入する前に一つ気がかりだったのが、ネット上で評価が非常に高いピグマリウスの上位機種だったのですけど、確かに楽器の鳴りはかなり良く、明るい音なんですけど、私の求めている音の方向性とは、ぜんぜん違うということで、これではっきり決心がつきました。
他にイタリア系の新作もあれこれ弾かせてもらったんですけど、巨匠と呼ばれる人の作品は、明るく鳴りが良い楽器が多く好みに合わないんですね。甘みと、神秘性、気品のある音色の古いフランス系のバイオリンの方が私の好みですね。価格もイタリアものより安いし。まあ今回の楽器はクレモナでしたけどフランス系バイオリンの音のような気がします。
それと購入後、びっくりしたのが、香木を使っているのでしょうか、すごく落ち着いた甘い匂いがするのですね。これは長時間弾いていても疲れないようにする工夫なんですかね。
まあ、大満足です。このバイオリンは、先生のもっているイギリス製のバイオリンと音色的には互角以上で先生が弾くとどうなるのか、非常に楽しみな次回のレッスンです。
このバイオリンは、私が死んだときに、本当に音楽を愛するバイオリン弾きに残してあげたい。そんなバイオリンです。今から遺書を残しておく必要があるのかなあ。うちの親なら一緒に火葬場にという蛮行をやりかねないですからね。
人は死んでもバイオリンは200年、300年と生き続ける。なんか不思議な感じです。