クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

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野平作品を聴く


b0046888_2291368.jpg昨日あったコンサートでの作品レベルで作曲家を語るのは、いかにも失礼であるということで、昨日購入した野平さんのCD作品を聴いてみた。武満徹が亡くなってから日本の現代音楽のレヴェルが格段に下がって来ているので、次世代を担う野平さんにはがんばってもらわないとねという支援の気持ちというのもあります。で追試ということでCDを聴いてみることにしました。


1.7人の奏者のための『錯乱のテクステュア』(1982)
2.弦楽四重奏曲(1995)
3.MIDIピアノ、八人の弦楽器とリアルタイムによる合成、分析、音響システムのための『挑戦への十四の逸脱』(1990-91)

まず最初にお断りしておかなくてはならないのは、私は前衛音楽を否定するものではないし、むしろ好んで聴いている方です。それに駄作であっても明日につながる駄作ならばむしろ賞賛しているくらいです。まあ、それを踏まえて読んでください。

まず、心配していた野平さんの作曲のレベルですけど、やはり第一線級のものはお持ちであるということはわかりました。弦楽四重奏曲なんかは、かなり手馴れたうまさがあります。多分弦楽器を使った方が、自由に音楽を表現できるのでしょうね。

でも何回か聴いていると、どうも前衛音楽を聴いているというよりは、ブラームスのような後追いの保守、英国作曲家にあるような中庸と言う名の臆病があるような気がします。どこかブーレーズだし、武満だし、バルトークだし、彼らの作りだした技法から一歩も抜けることがないという点が気になります。まあ野平さんもそのことを意識しているのかどうか、『挑戦への十四の逸脱』では、電子変調させたりする技法を使ったりしているんですが、何でこんなに臆病なんだろう。もっと思い切ってやればいいのにという歯がゆい気持ちがします。昨今の電子音楽の進歩についてもっと研究していないのかな。これじゃ60年代の電子音楽技術と演奏技法です。今はもっと過激なエフェクターとかフィルターとかあるのに、そんなことには一向に目が行かないのかな。

思えば、70年代以降前衛音楽というのは保守化しているというよりは陳腐化しているような気がしてならないのですが、野平さんにかぎらず、前衛作曲家の皆さんはもっとがんばってほしいですなあ。前衛をやっているつもりが20年遅れていたいうことがないように。でも時既に遅しですかね。ある意味、前衛ロックミュージシャンやヒップホップミュージシャンの方が進んでしまっていますからね。
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by ralatalk | 2005-02-25 02:35 | 音楽エッセイ
本日、今年初のコンサートに行ってきました。
今回は、野平一郎さんのコンサートです。野平一郎と言えば、サントリー音楽賞を受賞された作曲家でもあり、ピアニストとしても日本でおそらくNO1の演奏家でもあります。そしてこの人はおそらく音楽のイデアを持っている数少ない音楽家だとも直感しており、生演奏を聴くのを楽しみにしてました。そんな人が音楽のイデアを持つ作曲家リゲティをやるんだから、すごい演奏になるのだろうと密かに期待してコンサート会場に向かいました。

曲目は以下のとおり。私からの愛のメッセージ。コンサートに行かないで評論を書く才能をお持ちの音楽評論家さんへ。当日曲順が変更になっているので注意して記事を書かないと大恥を書くので注意してね。
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1.野平一郎:金管と鍵盤打楽器のための『織られた時』(日本初演)
2.リゲティ:ピアノ協奏曲
3.野平一郎:種々の楽器グループによる『バッハ/フーガの技法』(日本初演)

まずは、野平さんの音楽のイデアの中の作曲のイデアがどんなものかわくわくして聴いてみました。

『織られた時』
金管楽器とマリンバとヴィブラフォーンのアンサンブル。金管はトランペット2、ホルン2、トロンボーン2、チューバ1。曲調は、いわゆる60年代~70年代に流行ったセリー音楽調べ。フラッタリング奏法と多種にわたるミュート奏法が印象的な曲。当然、セリーなのでドカチン音楽になる。2倍くらい遅いテンポでやったらもう少し聴ける音楽になるのだけれども、それはこの曲のコンセプト「ものすごくせわしい時間と悠々に流れる時間との交差」に違反するみたい。でも悠々に流れる時間なんてこの曲には無かったような。
正直この曲は、そこら辺にころがっている音楽大学の先生が得意になって書いているような曲で、コンセプトも曲調も今となっては完全に時代遅れですなあ。イエローカード一枚。

バッハ/フーガの技法

バッハの曲のオーケストラへの編曲はかなり難しい部類になると思うのですが、過去にはヴェーベルンなんかは、音色旋律というコンセプトでかなり良い編曲を残していますし、ストコフスキーなんかは派手なエンターティーナメントという編曲で面白いものがあります。野平さんのコンセプトはヴェーベルンの方かな。
今回は、バッハの音符には手を入れないという禁欲的な編曲になったそうですが、これが大きく災いし、なんか中学生が編曲したみたいな曲に仕上がっていました。オーケストレーションが下手なのかなあ、クラシック史上最悪とされているシューマンやショパンレベルにも達していません。演奏もすごく悪かったこともありますが、言い訳の材料にもならんでしょうなあ。レッドカード1枚。

ということで作曲としてのイデアを感じるどころか、そもそも作曲が苦手なのかなあとも思いました。でもサントリー音楽賞を取るくらいの凄腕作曲家ということも考慮して追試しておきますかね。帰りに野平さんのCDを買って帰ることにしました。

リゲティ

リゲティといえば、現代音楽の良心ともいえるくらいのいい曲をたくさん書いており、この曲は是非とも生で聴いてみたいと思っていました。こういう曲を聴くと本当にいいですね。音楽のイデアが満々ていて、素材も新鮮だし、曲の展開もおもしろいし多様だし。
野平さんの演奏はすごくよかったです。なんか全盛期のポリーニを彷彿させる腕前で、曲を知り尽くした知的でクールな名演でした。やはり日本でNO1のピアニストであることは間違いないですなあ。駄目なオケを背中で指示しながらの演奏あっぱれです。彼らの能力の200%を引出していたかのようです。特にテンポ感が見違えるほどよくなったのはびっくりしました。
やっぱり、音楽家は上を目指さないとね。いい演奏家と競演するとこんなにも違うものなんですね。

最後にジャパン・チャンバー・オーケストラへ

年齢が若いのにはびっくりしました。ほとんど20代。中には才能のある方が何人かいたようですが、全体としては各人の個人プレイが多くまとまりが悪いですなあ。そのため音色感の統一がない。特に各人勝手なビブラートをかけているのでハーモニーに問題があります。また強音での和声の濁りには課題がありますね。これは低音楽器の音程が悪いのが原因でコントラバス、チェロ、ファゴットと低音ささえる奏者に努力が必要だと感じます。後、トリルの音符をちゃんと数えて演奏していないように感じますね。アンサンブルだと不協和音になるのですごく目立つのですね。
まだこれから成長するオケだと思いますのでマエストロにいい人を入れたいですね。シャルル・デュトアレベルのマエストロにやってもらえればかなりいいオケになる気がしますね。
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by ralatalk | 2005-02-24 00:05 | 音楽エッセイ

憧れのバンドネオン

今日ようやく、曲の骨格の完成にこぎつけました。
5分程度の曲なのに書く速度が遅すぎますね。まあ和声法どうりのコード進行を使えば、もう少し効率的に曲がかけるのだけれども、そのようなお決まりの曲は絶対に書きたくないので仕方ないといえば仕方ないのですけど。
曲は、オーボエとピアノための独奏曲。反省点としては構想が大きくなった割には、オーボエの演奏技法的な充実が足りない気がしています。オーボエという楽器は、良い音で鳴らせる音域が狭いので少し苦労することがあるのと、始終鳴らしているとあきやすい音であるというのがあります。これを補填する意味でオブリガートとしてホルンを加えようかどうか迷っています。ホルンを入れることによって、オーボエの弱点をカバーし音楽の深みが増すのかもしれない。まあどうするかは、もう少し様子見ですかね。

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そんなこんなで、ここ最近、強く思うことはバンドネオンの曲を書いてみたいということ。ピアソラのビデオを見ているとそんな気がだんだん沸いてきます。ピアソラの音楽はかなり激しいものですが、ピアソラ本人はいたってクールに弾いています。余分なパフォーマンスよりも音楽に集中したい。よい音楽を聴かせたいと願っているかのような演奏で、そこが職人親父の渋いかっこ良さがありますね。一緒に弾いているメンバーも親父について行こうといった感じになるのでしょう。出すときには出し、引くときには引くといった実にメリハリと抑制が効いて好感がもてるアンサンブルになっています。
さて、バンドネオンですが、これについて調べれば調べるほど、かなり厄介な代物というかほとんど楽器の天然記念物であるといった感じです。
もともとドイツで製作されてきた楽器なのですが、第二次大戦の東西ドイツの分断によって楽器職人達がいなくなってしまって技術の伝承が一旦途絶えたこと。これによりいい音のするバンドネオンは戦前のものしかなく、世界中のバンドネオン奏者が古い楽器を探しまくっているというじゃありませんか。現在、日本で手に新品で手に入る製品は、プレミア社の製品のみという状況になっている。最低価格も60万円というから学ぶにしても、すごく敷居が高いですね。また教えてもらえる先生もほとんどいない状況だし。故障したらどうするんでしょうか?

さらに、楽器がピアノやバイオリンといった完成された楽器ではないため今でもボタン配列が統一されていないし、バンドネオンで主流のディアトニック・バンドネオンでは、左右のボタン配列が違い、更に蛇腹を開いたときと閉じたときとでは音程が異なるため都合、4つのボタン配列を覚える必要があること。しかも配列はほとんどランダム状態。バンドネオンはその構造上、ボタン位置が見えないので手に覚えこませるしかないらしいです。とにかくこれほど不合理な楽器も珍しい。

そんなこんなの楽器なので、バンドネオンサイトは、かなり熱っぽく楽器を語っているのが印象的ですね。なんかXプロジェクトみたいな感じです。

バンドネオン入門 米沢典剛さん 
バンドネオンメモリダム 増田さん
タンゴ、バンドネオン、ブエノス・アイレス  田邉義博さん
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by ralatalk | 2005-02-14 01:30 | 音楽エッセイ
いや、これはまいったね。
この前、バージョンアップしたAltriverbがまたバージョンアップするとな。
前回は、MacOSをバージョンアップしたために仕方なくという感じだったのですけど、今回は痛いなあ。そんなに急いでバージョンアップする必要があるのかなあ。まあわからないでもないところとして、最近では安価なサンプリングリバーブがどんどんと出てきてますからね。あせりなのかなあ。まあAltriverbは、優れたサンプリングリバーブなのでこの質感を超えるというのはあんまり考えられないけど、弱点としてはマイク位置がわかり難いということですけどこんなのはプロレベルな差なんで、気にならないといえばそれまでのような気がします。
まあ前回のバージョンアップでは、CPU負荷を軽減したことが目玉になっていたけれども、私的には質感が良くなったことが一番よかったことかなあと感じています。特にお気に入りは、ウィーンフィルの本拠地であるムジークフェラインが収録されていることで、なかなかこの質感はいい感じがしています。

さて、次のバージョンアップの目玉は、ヴァーチャルリアリティームーヴィー機能で、その残響を収録した場所をイメージする事を助けますとありますが、設定するパラメータが多くなってはかえって使い易さを犠牲にしてしまう気もするしどうなんでしょうか。

まあ開発が遅れて夏頃にバージョンアップというのが、私としてはありがたいですね。
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by ralatalk | 2005-02-07 02:40 | 音楽ソフト

音楽理論の勉強

前回は少し音楽理論のことに触れましたが、今回はその続きです。
西洋音楽の作曲理論はおおざっぱに言って、和声法、対位法、楽式に分かれます。クラシックの作曲を目指す人は、これを勉強するわけですが、まずは和声法からやって、対位法、楽式に進むといいのかもしれません。でも私が思うに、和声法を2年、対位法を1年、楽式1年を順番にやるよりも、まずはさらっと読めるくらいのテキストを一通り読んでみて、それから深く勉強する方が、音楽を総合的に学び作曲するという点ではよいのかもしれません。
では、最初のテキストとすればどれが良いのかというとこれもまた難しい。最低限の楽譜のルールをまずは覚える必要があって、これには楽典を読むことからはじめないといけません。でもこれを全部やるとかったるいですね。大事な部分は、長三度とか完全5度とか増4度とかいった音程の読み方と、エンハーモニックチェンジとかいった少しテクニカルな部分ですかね。
それと短調のスケールの読み方ですかね。短調には3種類もあってめんどくさいのですけどね。後はお好みで旋法の名称。ドリアンとかフリジア、リディアとかいうやつですね。

でここまで最低限度の知識を頭に入れて次に進むべきは.......。

(1)和声法

これは和音の連結のお勉強ですね。音楽の勉強で一番苦痛なのがこれかもしれません。とにかく禁則がやたらと多いので嫌になります。その割には、古典派や前期ロマン派レベルの和声でしかないし。作曲に役に立つとはまずは考えないで、とにかく基礎として割り切って勉強するしかありません。
和声法で役に立つのは、転調の方法と借用和音、非和声音の解決方法で、これのバリエーションをいろいろ知っていると、後でいいことがあるかも。
和声法には、いろいろな流派があるのですけど、わが国では芸大和声というのが主流みたいですね。でもこれをいきなりではきついですね。気合のある人はこれからやってみるというのもいいかもしれません。

●音楽講座 和声楽 下総皖一著 音楽之友社 
 厚さも手ごろで比較的読みやすい。最初はこれで十分な内容です。でもこの本で曲を作るとなると古臭い曲しかできないかも。最近では7thや9thコードをあたり前のように使うようになっていますが、戦後の本なので仕方ないかな。

●和声 理論と学習 音楽之友社
 内容的にはわかりやすく書かれているけれどもこの分量はすごい。
 一番おいしいのはIII巻なのでこれをかじり読みしてます。

●近代和声楽 松平頼則 著 音楽之友社
 わが国を代表する作曲家である松平頼則先生の著作。まあドビュッシー以降の近現代音楽をやるにはこのレベルの知識をもっていないとね。昭和44年で改訂されているけれども、この当時から音楽はまったく進化してないですね。今もって最先端の書になっているのがすごいです。

(2)対位法

対位法はメロディとメロディを組み合わせる技です。厳格対位法と和声対位法があるんですけど、バッハ以降は和声対位法なんでこちらからやるといいですね。
最初、シェーンベルクの対位法で勉強しようとして挫折。逆にシェーンベルクの教育者としての能力の高さに脱帽。ほとんど虎の穴の修行ですなあ。

●対位法 長谷川良夫 著 音楽之友社
 対位法の本は、わかりにくいのが多いですけど、この本はわりとわかりやすかったです。前半は役にたたないので器楽的対位法から読むといいでしょう。

(3)楽式

ソナタ形式とかロンド形式とかといった西洋音楽のスタイル解説したもの。
西洋音楽の書き方のレシピみたいで、読んでいて楽しいのが楽式ですね。

●楽式論 石桁真礼生 著 音楽之友社
この本は、わかりやすくてなかなかおもしろいですね。ソナタ形式やフーガの解説に熱がこもっています。

え!これでは、大変で挫折しそう。わかりますね。その気持ち。
確かにいきなりは大変です。それならこれはどうですか。

●和声と楽式のアナリーゼ 島岡 譲著 音楽之友社
上記、和声法、楽式の2つをいっぺんで学習できる優れものの本。
結局、この本が作曲には一番役にたったかな。
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by ralatalk | 2005-02-07 00:53 | 音楽エッセイ