クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

壮絶!バトル・ビバルディ

最近、レッスンでビバルディのRV317をやっているので、いろいろと彼のことを調べています。ビバルディについては、ある偉い評論家さんから

「彼の作品は、1000曲以上あるが、1曲をアレンジして作ったに過ぎない。」

という褒め言葉が有名ですが、この言葉の裏を返すと、CDやDVDがなかった時代のことですので、それだけ需要があったということなのでしょう。当時の作品は、書き捨てられるのが普通だったようで、1曲作ったらそれをどんどんと他の曲に流用していくのは、当たり前のことだったようです。



 それとビバルディの作品番号の付け方は、かなり大胆で、複数の曲のセット、つまり曲集として作品番号1とか3とか付いていますが、これも不思議な感じがしたので、これもいろいろ調べてみると当時、作品番号を付けるということは出版する=名誉なことと同意語だったようです。
 ちなみにバッハの場合は、出版された曲集は、数曲しかないことからしても、当時のビバルディの人気がわかるというものです。

で、さらに驚くことは、ビバルディの作品が最近、たくさん発見され、CD化されるようになってきたことです。

「おいおい。そこの偉い評論家さんよ。1000曲のうちの何曲聴いて、そんなかっちょいいこと書いてんの?」

とマニアからの突っ込みがありそうなくらい、良い作品が発掘されているのですね。

それが、これ。やはりこういう発掘ができるのはマンゼでございますね。楽譜のカデンツアまで作曲してCD化。
ビバルディが、神聖ローマ皇帝のために、かなり気合を入れて書いた作品のみを選曲してくれているのがうれしい。ビバルディのバイオリン協奏曲は、400曲くらいあるらしいので、これは助かります。

で聴いてみたのですが、民俗音楽的にリズミカル。最新古楽研究の成果バリバリの演奏をベースに、マンゼの曲芸パフォーマンス付きです。とくに驚きが、マンゼ自家製のカデンツア。プロコフィエフ顔負けの超高音域を使っています。普通のモダンバイオリンだとそれほど驚くことはないのですが、バロックバイオリンなので、指板のないところで弾いていることになります。遊びなのか、研究なのかわからず。並みの演奏者がやれば、

「小僧。そんなのは、ビバルディではないぞ!」

と簡単に切り捨てられるところですが、マンゼがやれば、「ひょっとして、これは新研究か?」と思ってしまいます。知的刺激。こうしたマニアを封じる趣向を凝らせるのがマンゼの演奏でおもしろいところなんですね。そういえば、ビバルディは、バイオリンの指板を拡張するようにバイオリン製作者に要求していたとどっかで読んだことがあります。

それにしても気合いが入った曲集。それもそのはず、ビバルディが出世をかけて「神聖ローマ皇帝」のために持てる力を注ぎ込んで作った作品なのですから。鈴木教本もこういう曲を入れてほしいとこです。

おう、そうそう、レッスン用にRV317のCDを探しているのですけど、これが良い演奏がみつからず。それでも探して聴いてみたのですが、このマンゼの演奏を聴いた後では、他の演奏家の演奏では分が悪すぎます。でもこうして当てもなく探していると良いこともあるようで、またぞろ、すごいソリストを発見してしまいました。

カルボナーラ、いやちがったカルミニョーラ。イタリア人の名前はスパゲティのように長くて覚えにくい。でも、この人とヴェニス・バロック・オーケストラの演奏は、これはぶったまげました。

「古楽がなんだ。モダンがなんだ。俺は俺のビバルディをやるんだ。」

というヴェネチアの灼熱の闘魂の叫びが聴こえそうな超演奏。あまりのすごさに呆然。
ヴェニス・バロック・オーケストラも超イケイケです。ここまでくると、もはやバロックでなくてロックです。
なんとカルミニョーラというこの濃い系のイタリア人は、ビバルディにパガニーニを持ち込んで来ています。当時の演奏タイプにはなかったはずの、超高速デタッシェ・スピッカートとリコシュ・スピッカートの嵐。古楽なのに濃厚なビブラートもお構いなし。ロック風にいえば、超早弾きというのでしょうか、ハイテク・ボーイング。モダン楽器でもここまでやれる人はいないと思うのですが、バロックバイオリンとバロック弓でやっているとは。というか本当にバロック弓なのか確かめたい。バロック弓はスピッカートが困難だったのでモダン弓に進化したのではないのか?

ということで、頭の中が混乱。

「反則!反則!」と叫ぶ心のなかで
「もっとやれ!もっとやれ!」という野蛮な自分がいて、脳内の妄想ビジョンでは、

「反則だと。俺には、ルールなんかはない。俺は俺の技の音楽をやるだけだ。」

「マンゼ?。古楽界の魔術師だとか究極の美音だとか言われていて、どれほどすごい奴なのかと聴いてみたら、子犬がじゃれあっているように聴こえるぞ。俺様が本当のビバルディというものをみっちりと教えてやろう。くやしかったら俺と勝負しろ。」

と言っているかのような力と技のビバルディ。すごいことになってきた。ヴェニス・バロック・オーケストラは今年来日するということで即チケットを予約しておきました。これは楽しみです。

それにしても、今の一流古楽奏者には、古の巨匠がもっていた力強いカリスマ・パワーがありますね。本当にすごいソリストを聴きたかったら、古楽を聴きやがれです。

●追記
 「スピカートの演奏は、本当にバロック弓なのか」気になって気になって夜も寝れない状態だったのですが、ありましたよ。ありましたよ〜。記述精度の高い優秀なコンサート・ブロガーの方ならここを見逃しておりません。ちゃんと観察しているのですね。さすがプロ教師さんの目は鋭いです。

バイオリン航海日誌 カルミニョーラ様を聴いてきました!
ということはですよ。カルミニョーラは前人未到の驚愕のテクニックを持っているということですね。信じられない。
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by ralatalk | 2008-09-11 12:05 | 音楽エッセイ