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by ralatalk

マンゼに学ぶ最新バッハ事情 その3

2台のチェンバロのための協奏曲第1番ハ短調。またの名をオーボエとヴァイオリンのための協奏曲ハ短調。またあるときは、2台のバイオリンのための協奏曲ニ短調。しかして、その実体は?。ジャ〜ン! 裏ドッペル・コンチェルト≪BWV1060≫。BWV番号を覚えておくと、一気に3曲分の曲名を示せるので便利でしょう??

この曲に対する私の脳内イメージは若き女王。政治をほったらかしにして、お遊びにお忙しい旦那様が、狩りに行っているあいだに、粛々と執務をこなしていく有能な女王様のイメージ。



第1楽章は、皇后の椅子のある長い廊下を歩いていくと、その脇には、承認を待つ臣下の列がずらずら。女王様は、少しカリカリしながらもさっさと執務をこなしていく。そんなイメージ。

第2楽章は、朝の執務が終わり。ほっと一息の午後の紅茶。少しお疲れの女王様。それでも机の上には、各地からたくさんのお手紙が。それを手にとりながら、慈悲深く、笑ったり、哀れんだりしながら返事を書くといった感じです。

第3楽章は、パタ・パタと部屋のお掃除。カチャ・カチャと晩餐会の支度とセッティング。ここでも女王様は、テキパキと女中たちに指示を出していきます。そして夕暮れ。旦那の帰りを待ちます。

「う〜む。名曲だ!」

まあ、こんなおっさんの妄想はさておいて、肝心なのは、バイオリン協奏曲とチェンバロ協奏曲との関係。たくさんあるバッハのチェンバロ協奏曲は、他の曲から転用も目立つのですが、そのおかげで、失われた曲の復元することができるため貴重です。BWV1060は、その優等生的存在で、「オーボエとバイオリンの協奏曲」として復元され成功をおさめています。

 今回のマンゼの演奏は、2台のバイオリンでの演奏ですが、実はこちらの方がオリジナルではという説もあります。オーボエとバイオリンの組み合わせと、2台のバイオリンの組み合わせ。どちらで演奏するのが良いのか。難しいところですが、女王様らしい感じがするのは、2台バイオリンの方だと思います。とは言え、バッハの場合、いろいろな楽器の組み合わせで聴けるのも魅力のひとつです。

ちなみに本件については、以下のサイトが参考になります。
弦楽合奏豆知識

ところで、この復元の意味するところがとても意味深い。

チェンバロ協奏曲の楽譜は残っているが、その原曲であるバイオリン協奏曲の楽譜が存在していない場合、原曲があったはずという文献あるはずですが、その文献の信憑性を検証し、そこから原曲の調性を確定し、バイオリン譜に移していくことになります。ここまではすんなりできたとしても、スラーなどのアーティキュレーションは、チェンバロ譜のものをそのまま移行するというわけにもいかず、かなり悩むところでしょうね。

たぶん、専門家と、演奏家が喧々諤々と、かなりの長い年月をかけて、検証と議論をかさねて復元して、ひとつの楽譜ができあがったはず。まるでプロジェクトXの世界。そう考えると、今回の裏ドッペルを聴くにあたり、感慨深いものがあります。
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by ralatalk | 2008-07-23 17:59 | 音楽エッセイ