クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

お〜マンゼ。作曲家のこころを奏でる者よ

本日、マンゼの演奏会に行ってきました。
予想を遙かに超越した演奏でして、おそらく作曲家のこころをそのままに表現し、それにプラスして独自の解釈も大胆に含めることのできる演奏家で、バイオリンの背後で神が助言しているのではないかと思ったくらいの演奏でありました。

 音楽を深く読み切るという点では、モダンも含めた現在のバイオリニストのなかで、おそらく最高の演奏家は、彼だと思ったほどです。他に比較できるバイオリニストは現在にはおらず、歴史に記録されるべき演奏家の一人であると確信しました。



プログラムは、以下の通り。
  1. J.S.バッハ:チェンバロとヴァイオリンのためのソナタ イ長調 BWV1015
  2. コレッリ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ短調 Op.5-7
  3. J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻より 第8番 変ホ短調 BWV853 (チェンバロ・ソロ)
  4. パンドルフィ:ソナタ Op.3より 第2番「ラ・チェスタ」/第6番「ラ・サッバティーナ」
    ここで休憩。
  5. ビーバー:ロザリオのソナタより 第1番「受胎告知」
  6. J.S.バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903 (チェンバロ・ソロ)
  7. ビーバー:8つのヴァイオリン・ソナタより 第3番 ヘ長調

    アンコール:
    ヘンデル:ソナタヘ長調 第一楽章 アダージョ
    J.S.バッハ:ト長調 第4楽章 アレグロ BWV1019

    アンドルー・マンゼ(ヴァイオリン) / リチャード・エガー(チェンバロ)
    トッパンホール


まず驚いたのが、バイオリンの音程の完璧さ。この人の場合、音程が合っているという次元を越えていて、如何にしてわざと音程を外すかということに神経がいっているような気がします。もちろん、重音なんか濁るわけもなく、完璧な純正律和音がくずれることがありません。
※音程を外しているとか書いてらっしゃる人がいましたが、読んでがっかり。せっかくの趣向がわかってらっしゃらないのですね。残念。たぶん絶対音感の人はそのように聴こえるのでしょうね。
次に、音色パレットの豊富さ。作曲家によって、完全に音色を変えて演奏していました。いったいどれほどのパレットがあるのでしょうか。スタッカートの種類もかなり豊富で、独特な弾き方も随所にみせておりました。指弓のうごきがとても美しくしなやかでした。

それにもまして、一番のキモは、楽曲解釈。基本は、学術的な考察に基づいているように思うのですが、場面によっては、大胆な解釈を入れて来ている点。パンドルフィの音楽では、まるでジプシー音楽、あるいはジャズバイオリンでよく使うポルタメントまで入れて来ていて、それでもきっちりと楽曲に嵌まっている点は驚愕。何という大胆な想像力。
 この曲、本当に古い時代(1600年ごろ)の作品なのかと思うくらい音色が豊か。ラヴェル先生の一歩手前まできている部分もあって驚き。幽霊が出てきそうな序奏部は、聴いたことのないような音色。バイオリンでこんな音がでるのか思ったくらいです。技法的にもかなり多彩な作品なので、ちょっと興味をもちました。
 
ビーバーは、クラシックでの究極作品の一つと言われているロザリオのソナタで有名ですが、マンゼの得意曲。とうぜん、これもよかったのですが、今回は、古楽でのオーパーツともいえる第3番のヘ長調に注目。ストラヴィンスキーを思わせる終り方がすばらしい。

こういう派手系な作品も作曲家のスタイルを研究した上での、あっと思わせる意外性のある演奏。それでいて嫌みもなくツボに嵌まっている感じの天才的表現力。これは、グレン・グールドのような創造的演奏力と同格以上なのかもしれません。アンコールのヘンデルもやわらかな良い音色。まだ色が出せるのか感心。

本当に、良い演奏会でした。次回もかならず行こうと思います。

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どちらがマンゼのサインですかね。
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by ralatalk | 2008-06-11 22:57 | コンサート