クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

弱音の美学:ヒラリー・ハーンのシベコン

ヒラリー・ハーンのシベコンを聴きにサントリーホールに行ってきました。
休暇をとって、予習をみっちりやって、服も新調してということをやっていたので、何か自分の演奏会にでも行くのかという感じのドキドキ感がありました。さて、注目のこの人はどうであったのでしょうか?




コンサートのプログラムは以下の通り。
日時:2008年3月13日(木) 19:00開演
会場:サントリーホール
出演:ジャナンドレア・ノセダ(首席指揮者)
   BBCフィルハーモニック/ヒラリー・ハーン
曲目:
   ストラヴィンスキー:歌劇「妖精の口づけ」より ディヴェルティメント
   シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン)
   チャイコフスキー:交響曲第6番 「悲愴」


まずは、ストラヴィンスキーから。この曲は、近代音楽なんですけど、口当たりの良い音楽で、ストラヴィンスキーが作曲したと言われてもウソでしょうと言いたくなるような曲。悪い曲ではないんですが、コメントがしずらいですね。

 取りあえずここでは、オケの実力を探る方に聴き方をチェンジしました。
BBCフィルと言えば、世界の名門オケの一つなんですが、生で聴いたのは今回初めて。感想は、「うまさが二枚腰」。日本のオケでもうまいオケはあるのですが、それは単にうまいという1次元の世界。このうまさに奥ゆかしさがあるのがですね。どの曲も余裕で弾いているんだけど、まだまだ、埋蔵金をどこかに隠しているなという感じですかね。特にホルンとトロンボーン、それとコンマスとチェロ主席はかなり良い音を鳴らしていました。

 全体的に感心したことは、楽器間のバランスをとても良く鳴らしていることと、サントリーホールの響きの特性を熟知していて演奏していたこと。スタッカートは短めにかつ柔らかく余韻を残す演奏をしていたことは、なるほど、このホールではそういう弾き方をすれば良く聴こえるのかと勉強になりました。
 サントリーホールでは、たまにびっくりするような弱音が聴こえてくることがあるため、強音でガツンガツン弾くとかえって逆効果になるのですね。

さて本題のヒラリー・ハーンの方ですが、シルバー系のきらびやかなドレスと白いハンカチを顎当てに付けて登場。

みんな注目している中、弱音から主題をゆったりとのびやかに演奏していきます。この曲の場合、第一主題で、どうやって行くのか方針が問われることになりますが、ヒラリーは、情感にうったえる演奏ではなく、フォルムを重視した演奏を宣言。ここで私は、弱音を注目して聴いておいてくれというようなメッセージを感じました。

この意を受け弱音に注目して聴いていたのですが、カデンツアに到達すると、弱音の効果が生きて、強音との対比のコンストラストが鮮やかでした。それにしても、ヒラリーの弱音の音色はとても多彩。弱音であっても輝きを失わない音はとても柔らかく美しい。なんかミルシティンを彷彿させるような弾き方ですね。

 後半も危なげなく余裕の演奏。感心したのは、ノセダですね。ヒラリーの邪魔をせず、音をかなり押さえての演奏。でも出すところは出していましたし、ヒラリーのアーティキュレーションを尊重した良い仕事をしています。

 2楽章も抑制の効いた感じでよかったし、3楽章もなかなかリズム感がよし。中間部の口笛のように鳴るフラジオレットのところも良く聴こえていた。そして最後の難所の決め所もバッシと決めて終了と思いきや、フライングブラボー勃発。クラシックを愛するなら終曲してから3秒は我慢してください。あ〜あという感じですね。これだから有名曲は嫌なんですよね。

 アンコールはバッハ無伴奏。サラバンド。思ったんですけど、ヒラリーはミルシティンの後継者なのかも。この若さでここまで深いとはおそれいりましたという感じでした。
 
 後半は、悲愴。この曲はもう何十回生で聴いたのでしょうかね。演奏中に次のメロディが次々と浮かんできます。ノセダの指揮は、すごく正攻法なもので、うまかったのですが、曲の解釈はやり尽くされていますからね。何か水戸黄門的演奏なのは仕方のないところですか。意外性といえば、第4楽章のはじまりの部分で気合いの声を入れていたところ。サントリーホールのおそろしいところは、どんな小声であっても後ろまで聴こえるので、ここはいただけませんね。

 とても性能の高いオケなので、チャイコフスキーだと面白みがなかったです。ぎりぎりの緊張感がないとプロオケの演奏はつまらないので、次回はもっと難易度の高い曲でよろしくお願いしたいところですね。このプログラムでは、シベリウスの交響曲の4番以降とか、せっかく英国のオケなんですから、ヴォーン・ウィリアムズの交響曲あたりでもよかったのではないのですかね。

●追記
ミハーにもサインしてもらいました。それが以下です。
300人くらいは並んでいたのですかね。人気ソリストとなるとサインも大変ですね。少しお疲れのご様子でした。

b0046888_0214959.jpg

[PR]
by ralatalk | 2008-03-14 00:15 | コンサート