クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

お〜マニアック・ロシアン・サウンド

本日、オーケストラ・ダスビダーニャの演奏会に行って参りました。
このオケは知る人ぞ知るショスタコを専門に演奏するアマチュアのオケです。ここ東京のアマオケはレベルが非常に高く、曲目によってはプロの演奏すら凌駕するときもあるのですが、そのなかでも最高レベルに君臨すると言われているアマオケがこのダスビです。

第15回 オーケストラ・ダスビダーニャ定期演奏会

日時:2008年2月11日(月・祝)
13時開場、14時開演
東京芸術劇場大ホール 

ショスタコーヴィチ
  ノヴォロシスクの鐘
  交響曲第9番 変ホ長調 作品70
  交響曲第11番 ト短調 「1905年」作品103

指揮者 長田雅人




うわさに聞いていましたが、正直、ここまでやるとは思ってなかったのでびっくりです。特に、オケのサウンドが優等生的なジャパ〜ンではなく、武骨で野蛮なロシアサウンドだったのが驚異的。楽団員の皆さんが、曲を知りつくして演奏していく姿をみて、去年のサンクトペテルブルク響を思い出しました。指揮棒を振られる前に自律的に演奏する斬り込みの深い演奏。国内のプロオケでもショスタコの魂をここまで表現できるオケはなかなかない。プロオケの場合、ショスタコを理解しないで演奏している奏者が何人かいるものなので、この人達が足をひっぱってマイナスに作用する場合があるのですけど、ここは、やりたくて仕方がない連中が集まっているので、プラスが更に倍化される効果があるのですね。

特に感心したのは、スネア奏者。この人は徹底的にムラヴィンを研究しまくっていますね。鋭い情け容赦のない冷徹なサウンド、ダイナミックス、正確なリズムとタイミング。ムラヴィン全盛期のレンフィルを再現したかのような厳しい叩き方でした。ティンパニとシンバルの連携もばっちりで、オケのリズムが少し悪くなったときに、たたき込む気合いの取り方も抜群。(う〜ム。うまい。)
 よっぽど好きで叩いているのでしょう。まさにショスタコを叩くために生まれてきたかのような演奏でした。これくらい叩ければ、ロシアの名門オケに余裕で入団できるのでは思えた程です。みごとでした。
 
では、ワンポイント感想を以下に。
  1. ノヴォロシスクの鐘

    この曲は、2分くらいの小曲なんですが、こだわりがありました。なんとチェレスタのかわりにハンドベルを使っての演奏。これがなかなか、国旗掲揚のようなおごそかな雰囲気にあっておりなかなか面白いと思いました。女性のなかに1人の若い男性がハンドベルを叩いておられましたが、何となく、ちぐはぐな感じが可愛かったです。

  2. 交響曲第9番 変ホ長調 作品70

    この曲は、モーツアルトを演奏するように、リズムと和声、旋律の粒がそろっていれば、ハイ出来上がり。みたいな、カップスープのような安易な演奏が多いし、私もそれで良いのだろうと思っていたのですけど、なかなか良く考えた演奏で、はっとさせられるというか、気づいていなかったことに気づかされる部分が多々ありました。スコア買って研究の価値大です。
    トロンボーンのパッセージ。15番との関連が高そうですね。

  3. 交響曲第11番 ト短調 「1905年」作品103

    かなり聴き込んでいるので、トランペットがなったらスネアがリズム叩いてというように、ほとんど脳内は忠臣蔵、水戸黄門状態なんですが、決め所できっちりと決めていくというのが、この曲のポイントですかね。それと、あまり丁寧に演奏していると映画音楽のようになってしまうので、適当に荒れていて、少し危ない状態のアンサンブルになっている方が、緊張感があって良い気がします。
     その点、アマチュアのアンサンブルなので適度に不安定になってきたところで、スネア、ティンパニ、シンバルで締めるというのが、スパイスが効いた感じがしてよいのですね。
     例えるなら、どんよりとした雲行きの妖しい雰囲気のなかで、雷がピカーとなって、ドンと鳴るみたいな感じですかね。
     
    今回の演奏は、テンポとしては、ゆっくりしていて第ニ楽章も出だしは、ゆっくり、ゆっくり、不気味に入っていくところが良いです。この効果のまま徐々に音の圧力を増してゆき、血の惨劇へ突入したとたんに、テンポをはやくしていたのが秀逸な表現。逃げ惑う民衆をみごとに表現。ここでの打楽器軍団の破壊力はかなりのもんでしたね。聴いていて、髪の毛が逆立ちました。

    逆に第3楽章のビオラの旋律は、奮闘はしているものの、やはりプロオケの方がまさります。アマとプロとの最大の差は、弱音をいかにきれい聴かせることができるかということにあるので、この部分はアマでは難しいところです。ヒューウルフ/読響の演奏はこの部分絶品でしたからね。

    第4楽章は、皆が気になっているアレ。ティンパニの横に置いてある目立つアレです。11番と言えば、そうアレです。なんと本物の教会の鐘を持って来ているではないですか。鐘で有名なベルリオーズの幻想交響曲では、本物の鐘を使う場合もあるのに、ショスタコでは、チューバーベルで格下扱いにされていたのですが、これではいかんだろうということで、持って来たのですね。さすがにマニアックな楽団だけのことはあります。
     このアレのせいで、全神経はラストのコーダーに集中してしまいました。いつ叩くのかはらはらしながら見ていたのですが、コーラングレの長いソロが終わったあたりから、準備が始まり、ラストになだれ込んだあたりで鐘が、コーン、コーンと乱打、乱打、乱打、最後の一撃、カ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン。
    観衆はいつもここで緊張させられます(フライング注意)。
    このことに慣れて来たのか、最後の音が消えゆくまで拍手なし。指揮者が指揮棒を下ろした後で一斉に拍手。(ほっと、一息)。いろいろと事件が勃発しているこのラストの鐘。観衆もいろいろと勉強するようになってきたのですね。

 それにしても11番。最近の人気曲なのか、行くたびごとに客が増えている気がします。次回は、4月24日、サントリーホールでありますね。CDでチマチマと聴くより、この曲は生で聴いた方がよいですね。

●アマオケ診断

 ダスビは、他のオケとは違う独自なサウンドをもっていますね。
打楽器はプロと互角。フルート、トロンボーンはプロレベル。クラリネット、ファゴットはアマ上級。オーボエはリードの調子が悪かったですかね。音程下がり気味。コーラングレはなかなか味あり。トランペットは、太くかつ鋭い音でよかったのですが、ミスが少々。ホルンは、独特な音。うまいという程ではないが味がある。弦は分厚い。プロオケでも力のないしょぼい弦が多いので、この点では弱小のプロ以上。と言うものの音程に関しては、さすがにプロの方がレベルが高いです。ビオラとチェロにもう少し人数がいれば、バランス的に良いのですが、コントラバス10本の迫力はすごい。弱音での音程の安定と美しいビブラートがかけることができるのであれば、さらに良し。
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by ralatalk | 2008-02-11 20:32 | コンサート