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クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

第53回 リリー・ブーランジェの夜想曲にこめられた深淵

リリー・ブーランジェの夜想曲もいよいよ、次回、ピアノとの合わせをするということでしっかりと弾きこなせないといけないのですが、ポジション移動が多いこともあって、音程がまだ安定しておりません。変則スケールの部分もあやしいしいし。この高音域でビブラートも至難。

美探先生曰く、

「君はとんでもない曲を選んできたものだ。普通ではこのような曲はやらせん。最初にこの曲をやりたいと言ったときには、え!と思ったが、好きでやるんだから、しっかりやんなさい。まあ、さまにはなってきている。後は、ビブラートと指弓だなあ。
それと弓配分には十分に気をつけることだ。」



「来週、ピアノと合わせるからよろしく。」

とのことで、ピアノ伴奏をMIDIで打ち込んでそれと合わせてみることにしました。
合わせてみると、リタルダンドがかかるところの合わせがうまくいかず。やはりここは人間に伴奏してもらわないと難しいですね。変則スケールのところも、機械だと待ってくれないので焦る焦る。ここは暗譜レベルではダメで指に覚え込ませなくては。

「こころを込めて、ゆったりと。」
「そこの付点8分音符。行進曲になっとるぞ。まるでショスタコだ。」
「弓は最後まで、16分音符のところで大きく使え。」
「アップボーで音が膨らむ。」
「D線のフラジオをしっかりと出す。」
「そこのハイHは、ビブラート必須。どんなに高域であってもかけること。できると思ってかける気力が大切だ。」
「ビブラートは常に一定にかける。数えているのか?。むらがありすぎだ。」

とまあ、先生に注意されたことを思いだしながら、しばらく演奏。
(遠い。力の差がありすぎる。)とクレアな心境で。

 「こころをこめて」

何かこの曲は、「こころをこめて」弾いていると、しだい、しだいに深淵の世界に引き込まれそうな気がするし、背後に誰かがいるような感じ、あるいは何かに憑依される感じがするときがあります。それを突破して勇気をもって入り込もうとすると、心のリミッタースイッチが入ってしまうのです。

Sul-Dで弾かされてしまう曲。もしかしたらこれはD=Deathの暗示?。D線上は死をあらわし、A線はAlive、つまり生きている者。この曲の最後は、Sul-A上の旋律からE線、Eternal、つまり永遠で終わる。最後の音はFなのでFinal
ちなみにG線はまったく使っていませんので、G=Godがいないという意味にもとれますね。

これを考えると詩篇130番の「死の淵から」と内容が一致。この作品は処女作にして、最高傑作の詩篇130番とつながっているのですね。

音名象徴の技法?。偶然の一致。必然の神の御印。
ここまでは、さすがに深読みのし過ぎだと思うのですが、この解釈、あながちまちがっていないかも。

生者と死者の境界線。そのようなものがあったとして、リリー・ブーランジェ17歳にして、ひょっとしてそれが既に見えていたのかもしれませんね。

未知なる曲への挑戦。これもまた演奏者に与えられる最大の醍醐味ですなあ。
by ralatalk | 2007-11-13 12:17 | パガニーニへの道