クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

サンクトペテルブルク、大炎上

鳴り止まない拍手。楽団員の最後の人が出て行くまで拍手は続いた。

 サクトペテルブルク交響楽団。ここに来た人たちのみが味わえた気迫溢れる極上のショスタコーヴィチ演奏。バビヤール、10番どれも聴いていて、身震いするほどの演奏。そう、こういう音楽が、ずっと、ずっと聴きたかった音楽。

 指揮棒を振られてしまう前に要所要所で準備している自律的な動き。熱演の連鎖反応。クラリネットのソロがよければ、それに負けじと、オーボエ、フルート、ファゴットが続いていく。トランペットががんばれば、ホルン、トロンボーン、チューバもそれに続き、鋭く打楽器群がそれに呼応する。コンサートマスターの背中は、最前線の有能な指揮官そのもの。遅れを取るなと斬り込み進軍。チェロ、コントラバスは、この日のために弦を替えて来たのかと思わんばかりの重厚な音色。
 マエストロ、井上道義の音楽というよりも、これは、サクトペテルブルク響の音楽。おらが町の偉大な作曲家、ショスタコーヴィチに全身全霊を捧げつくした演奏。
 それにしても、第1、2、3、5、6、7、10、13と8曲も演奏しながら、すべてが圧倒的な名演であったことは、驚異的なことです。




 ムラヴィンのような怖いマエストロが軒並みいなくなってしまったことや、経済的に苦境もあってか、誰もやらないことをやるという向上心や気迫にかけているオケが多いなかで、この低価格でこのようなすばらしい演奏がやって頂けたことに本当に感謝するしかありません。
 今度、来日したときは、かならず演奏会に行くことにしています。



●曲目
 ≪日露友好ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト2007≫
 11/10 ショスタコ:1番、7番
 11/11 ショスタコ:10番、13番
 指揮:井上道義
 合唱:東京オペラシンガーズ
 オケ:サンクトペテルブルク交響楽団
   :千葉県少年少女オーケストラ(第1番のみ)
 会場:日比谷公会堂

●第1交響曲 11/10(土)
 こちらは、千葉県少年少女オーケストラの演奏。
昨今のアマチュアオケの技術向上は、すさまじいものがありますが、未成年のオケでは最高ランクのオケですね。春の祭典と武満をひっさげて、来年、ミッチーと一緒にヨーロッパ演奏旅行へ行く予定とのこと。武者修行。大いに勉強して来てください。
 チェロ主席の男の子と、コンマス横の女の子。将来が楽しみですね。

●第7交響曲 11/10(土)
 7番は、レニングラード攻防戦のなかで書かれた大作。有名曲なので特に解説は不要でしょう。駄作なのか、名曲なのか、よく話題になる曲ではありますが、今回のこの演奏を聴いて私はこの曲をまったく理解していなかったことに気づきました。というか、この曲をCDで聴いて理解しているつもりになっている人は考えを改める必要があるかもしれません。ライブ演奏にこそ真実があるのです。
 オケ本体と別動隊として舞台袖の左に配置されたホルン、右のトランペットとトロンボーン。第一楽章の頂点に入る少し前で入ってきますが、絶大なる効果を発揮しておりました。この配置にレニングラードに守り抜けというショスタコの強い意志を感じました。

↓ミッチーへのカンパ目的で写真を購入。両袖のエキストラ・ブラスにご注目。
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●第10交響曲 11/11(日)
 カラヤンが演奏したこともあって傑作と讃えている人もたくさんおられますが、私にとって、ずっと理解できていなかった曲。最近、その良さが少しわかって来ました。今回の演奏ではっとしたことは、第1楽章において第7交響曲のフィナーレから流用して来たフレーズが結構使われているなあということと、クラリネットのソロが結構おいしいということですかね。サンクトペテルブルク響のクラリネット奏者は、結構音が通りうまいなあと感じました。
 第二楽章は、スターリンの肖像と言われていますが、私が考えるに、第三楽章の方がスターリンぽい感じがするのですね。執務室で考え事をしながら、あちらこちらを歩いているスターリンというイメージです。

●交響曲第13番 バビヤール 11/11(日)
 個人的にショスタコ交響曲の最高傑作と考えておりますが、第4番、第8番を最高傑作とする人も多いです。14番も傑作ではありますが、これは交響曲というよりも連作歌曲という感じですね。
 私の考える最高傑作の定義は、自分の表現したいものをすべて出し切った作品。また命をかけて作曲されていることが最高傑作にふさわしい。ムラヴィンが初演を辞退するもコンドラシンが、これまた命をかけた行動に出て初演成功。コンドラシンは、ショスタコの4番の初演のときも随分と苦労しており、こういう人が、ショスタコの近くにいたことも奇跡的。神に選ばれし運命。そういうものがあるのでしょうね。

あ、そうそう。コンドラシンについては、キング・オブ・猛者マニア、おがわさんのHPをリンクしておきますかね。すごい情報量です。


 今回、字幕付きで、演奏されたので、詩の内容と音楽が実に合っているのかよくわかってよかったです。第一楽章は、いつ聴いても戦慄しますね。詩人のエフトゥシェンコがびびっているのに、ショスタコは平然。誇り高きロシア人が、ユダヤ人迫害なんかしてどうする。当局のお役人さんどう思いますかと尋ねている音楽なのですからね。

こういう曲なので、滅多に演奏されることはないのですけど、良い演奏で聴けてよかったです。バスのセルゲイ・アレクサーシキンさん、熱演でした。得意曲なのですかね。


↓これはバビヤール。これはティンパニおじさんの写真がほしくて購入。もっとアップのがあればよかったのですが。金管軍団は窮屈そう。椅子は何とかしてあげてほしかったですね。
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by ralatalk | 2007-11-11 22:51 | コンサート