クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

バルトーク:ニダピア(オケ版)

前回の都響の松村禎三氏のピアノコンチェルトの熱演に大変気をよくして、またしても大長老、別宮貞雄プロデュースのコンサートに行って来ました。それにしても大長老のプロデュース、なかなかいいですね。次は、武満と三善とブーレーズですか。来年まで待ちきれませんね。もっとやってくれれば良いのですけどね。
ついでにリクエストしておくと、大澤壽人と諸井三郎は絶対にやってほしいです。全国のクラシック・マニアを大集結させましょう。大澤壽人の場合、ピアノコンチェルトずくしで、野平一郎もしくは、高橋悠治か、アキさんでやってもらえれば最高です。
諸井三郎の方は、交響曲全曲一気に行ってもらいたいです。特に、諸井三郎の復活を望んでいるマニアはたくさんいるはずなのですけど、どうして企画にのらないのか不思議でなりません。

という要望を出しておいて、今回の演奏会。

曲目は、以下の通り。

指揮 :高関健
ピアノ :田部京子、小川典子
打楽器 :安藤芳広、小林巨明
児童合唱 :TOKYO FM少年合唱団、世田谷ジュニア合唱団

《別宮貞雄プロデュース 日本管弦楽の名曲とその源流4》
  1. 間宮芳生 :合唱のためのコンポジション第4番「子供の領分」
  2. 小倉朗 :管弦楽のための舞踊組曲
  3. バルトーク :2台のピアノと打楽器と管弦楽のための協奏曲
  4. バルトーク :舞踊組曲




今回、会場に入ってびっくりしたのですが、この手のマニアックなプログラムにかかわらず、結構、人が入っていて8割5分くらい埋まっていましたね。
たぶん、少年合唱団のお父さん、お母さん達とか親戚筋が見に来ていたのでしょうね。ということで現代音楽やマニアックな曲をやるときは、少年合唱団を参加させておくのも営業戦略ですね。三善晃の響紋をやるときは、いつも人の入りがいいですものね。おお、そう言えば、長老プロデュースの6回目にはこの曲が入っているではないですか。やるなあご長老。これと超難解なブーレーズの曲と組み合わせているし、営業センスも一流ですね。
 
 ちなみに響紋という曲、松村禎三のピアコン1番で感激した人なら、さらに驚くような驚天動地の壮絶な死者の世界が待ち受けています。この曲も超飛び切りの上物です。

 邦人作曲の作品は、実は世界的にみてもものすごいレベルの曲がたくさんあるのです。最近、演奏機会が増えている武満徹の作品も良いのですが、邦人作曲家のなかでは、中の上くらいのレベルですので、こんなんで世界の○○を聴いたんだと満足していてはいけません。マニアは前衛、保守の違いも乗り越えて、更なる高みを目指しましょう。さて、演奏会の方なんですが、当日券で入ったので、最悪の最前列になってしまいました。ということで、まともな評価ができないのですが、感想などを。
  1. 間宮芳生 :合唱のためのコンポジション第4番「子供の領分」
    遅刻でこれは聴けませんでしたが、外のモニタで聴いている分には、文科省ご推薦というような、まじめな作風だなあという感じですかね。

  2. 小倉朗 :管弦楽のための舞踊組曲

    日本音楽史のなかで「オグラームス」で有名な小倉さんの作品ですけど、彼の作品は初めて聴きました。正直、悪いですが、このレベルの曲なら芸大作曲科レベルの人なら誰でも書けるレベルですかね。曲の展開部が教科書通りの進行しかしないので、特に感心するところがありませんでした。こうした楽想を芥川也寸志ならハッとする部分を組み合わせてうまく調理するのですけど、センスの違いですかね。
    ましてやバルトークの舞踊組曲と比べると、その作曲の格の違いが歴然としているので、少しかわいそうな気がしました。

  3. バルトーク :2台のピアノと打楽器と管弦楽のための協奏曲

    この曲、オリジナル版では、ほとんど暗譜するくらいに聴き込んでいるんですが、オケ版の方は、あまり聴いていませんでした。言うまでもなく、バルトークの作品の中でも最高の作品。バルトークはこの曲を自分と奥さんのために作曲して、ヨーロッパで最後の演奏会を開催したのち、アメリカに亡命することになったのですが、このコンサートを聴いていてハッとしました。この作品にはすごいメッセージがたくさん残こされているのだと。
    第1ピアノは、バルトーク自身、第2ピアノは、奥さん、打楽器は、バルトークの意志を継ぐ若い作曲家のために、そしてピアノと打楽器の響きがオケに波及する。これが世界に対するメッセージ。ナチズムへの抵抗のあらわれ。
    この曲は、非常にあっけなく終わるのですけど、これこそがバルトークの「私はかならず故郷に戻る。」という決意です。
    このことを知っていて演奏していたのかどうか、わかりませんが、田部京子さんのピアノはそれを語っていましたし、打楽器奏者はそれに飛び切り上等な、音で応えていました。ただ、残念なのが、小川さん、このことに全然気が付いていない。弾くだけで精一杯。田部さんからのこれだけ多くのメッセージが送られているのに何故に、ピアノの音で応えることができないのか、聴いていてイライラさせられました。
    バルトークの曲を単なる上級者向けエチュードと考えて弾いているのでしょうかね。そんな良からぬ疑惑も感じてしまいまいた。

  4. バルトーク :舞踊組曲

    久々にこの曲を聴きました。バルトークの作品の中では、娯楽性に富んだ作品。バルトークらしいリズム、そしてラヴェル先生のオーケストレーションのような部分もたくさんあっておもしろい曲なんですが、高関さんの指揮がまじめ過ぎますね。もっとメリハリがほしいです。バルトークはこの曲で民謡をたくさん使っているのですが、その歌をもっと生かしたテンポの取り方、間の取り方、バルトークのスタッカートにはいろいろ種類があって、その結果として様々な音色が生まれるのですが、それが不統一なんですよね。フリッツ・ライナーのようなキビキビとした演奏を期待したいところです。


総括としては、都響は、独特な響きを持つオケだなあと思いました。
特に良いところが、コントラバスと打楽器。五弦バスを多く揃えているためか独特の存在感がありますね。ティンパニと打楽器は、音色にかなりマニアックなこだわりを感じました。トランペットとトロンボーンはわりとブラスバンドぽい吹き方なんですけど、オケにうまくブレンドしています。これはこれで味ですね。ロングトーンの音が安定しているのも好印象。ただ、フルートとオーボエが少し弱いですかね。まあ曲にもよるのでしょうけどね。

また、マニアックな曲をやるのでしたら、演奏会に行ってみますかね。今年は、こんなおもしろいプログラムはないみたいですけどね。
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by ralatalk | 2007-01-26 01:02 | コンサート