クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

歴史に残るコンサート その1

本日、読売日響の第440回定期演奏会に行ってきました。
曲目は以下の通り。

1.ペンデレツキ:広島の犠牲者に捧げる哀歌
2.武満徹:カトレーン
3.スクリャービン:交響曲第5番<プロメテウス-火の歌> 照明演出付き

指揮:井上道義、ピアノ:高橋アキ

b0046888_035576.jpgマエストロ井上は、結構変わったプログラムを組んで楽しませてくれる指揮者ですけど、今回のこのプログラムは気合入りまくり、エネルギー充填120%ということで、まさにこのコンサートに来いと呼びつけられているようなもんで、おもわず会社を休んではせ参じることにしました。高橋アキさんの演奏も久しぶりに聴けるということで、これもまたうれしさ100倍です。
で、行ってきた感想ですが、これはものすごいコンサートでまさに歴史に残るようなすばらしいものでした。いつもは曲順に感想を述べていくことにしていますが、今回はプロメテが凄過ぎで、これで頭がいっぱいになっています。

プロメテというと音楽と色彩を合体させるという大胆な発想で有名で、色光ピアノといって音階に合わせた光を発光する楽器を指定しているのですが、残念なことにこれを使ったコンサートはほとんどやられたことがありません。今回も色光ピアノは使われていなかったのですが、その代わりにライトでハリネズミ武装したスタインウェイピアノがその代役を務めます。

マエストロ井上は、本気でスクリャービンの果たせなかった夢に挑戦するというのです。プログラムノートにはこうあります。

自筆のスコアの600余小節すべてにライラック色、鉛色、赤い閃光、さざ波のような月光の色、死んだような鈍い血の色、にんじんの色、緑の炎などなどを書き込んだコピーを見たとき、それこそ僕の頭に閃光が走った。「あっ、これは楽譜なのだ。台本なのだ。読むのはこちらだ。指示されたものの解釈は、こっちが(曲げずに?)しなくてはいけない」と思った。
 光は、どこに、どのような強さで、どうやって射すのか、前後の関係も、全部消えるのか、一部残るのか、まったく書かれていない。
 そのうえ100年後のこちらは、劇場の最新機能を駆使してやれるわけだ。スクリャービンは、あの時代では果たせない夢をみたのだ。

で準備は、どうだったのかというと、ステージいっぱいにサーチライトを並べ立て、各奏者の譜面台にライトをつけて、ステージの真上に白いどんちょをたらして、これに画像を映し出すしくみになっていました。

実践では、真っ暗なステージになり、徐々にうっすらとしたところでマエストロの指揮が振り下ろされたところで曲が不気味だが静かに曲が始まり、楽器にあわせて怪しげなライトの点滅、やがてピアノが出てくるところでは、ちかちかとライト点滅し、曲の激しさや曲の細かさにあわせて目がくらむほどの色の7色変化、青になったり、黄色になったり、途中でまったくぞっとするほどの血の赤になったり、まさに光に圧倒され、曲の細かさに圧倒され、観ているものは唖然とするしかありません。音楽と光の効果がこれほどすさまじいものとは、映画なんかでは実感することはあっても、それとはまったく次元を超えた闇と光と音楽の美しさと妖しさに開いた口が塞がらない状態になってしまいました。これは危険な音楽です。

マエストロいわく、「今宵一晩、皆様を骨抜きにしてみせます!」
まさに、そういう状態。マエストロとオケのメンバーにブラボー、まさにスクリャービンの望んでいた世界を再現できていました。高橋アキさん、まさにプロメテの化身! むちゃくちゃにかっこよかったですよ。

本当のプロメテの姿がこれほどのもんだったとは、凄過ぎます。こういう演奏会は是非とも再演してほしいですね。
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by ralatalk | 2005-07-20 00:01 | コンサート