クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

神業を聴きにいく

昨日のトッパンホールの演奏があまりにも凄かったので、テツラフ演奏のオーケストラ・バージョンも聴きたくなり、速攻でチケットを予約。サントリーホールへGo!。

●東京交響楽団第589回定期演奏会

  都合により、ピアニストがアレクサンダー・ロンクィフから児玉桃に変更とのこと。

曲目
* シェーンベルク:室内交響曲第2番 op.38
* メンデルスゾーン:ヴァイオリンとピアノのための協奏曲 ニ短調
* ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 op.55 「英雄」

指揮
ユベール・スダーン
クリスティアン・テツラフ(Vn)、児玉桃(Pf)




今回は、メンデルスゾーンの賞味期限の切れたあの曲ではなく新作の方の協奏曲というのがうれしいし、この曲をセレクトするあたりがテツラフらしい。バイオリニストたるものレパートリーを拡張せずしてどうするんだという心意気を感じる。
メンデルスゾーンのこの曲は、ちょっと珍しいのでちょっと解説すると、メンデルスゾーンが14歳のときに作曲、バイオリンの先生であったリーツと彼自身のピアノで演奏された。その後、ずっと忘れられていたのだが、1999年に復活演奏となったとのこと。なので新作と言える。

さてテツラフの演奏だが、本当にこの人の音は次元が違うということがサントリーホールでも証明された。柔らかく太く、ホール一杯に響き渡るバイオリン。アメリカ有名大学出身のバイオリニストとは、180度違うタイプの演奏家だ。また、テツラフ曰く、ストラド、ガルネリなどのバイオリンよりも、新作楽器の方が良い音がするということで、ドイツの製作者であるペーター・グライナー氏のバイオリンを使っているとのこと。
最近よく思うのだけれど、バイオリンが銘器かどうかで左右されている演奏家はまだまだ三流なのだと。テツラフクラスになるとそんなものは軽々と越えてくる。弘法筆を選ばずな状態になるのだと。

※ペーター・グライナー氏のバイオリンについては以下参照。
 http://www.goethe.de/ins/jp/lp/kue/mus/ja1605366.htm

それにしてもテツラフ。左手の動きにまったく無駄がなくハイフェッツと肩をならべるくらいの美しさだし、右手の動きも実に柔らかい。この柔らかさは、あのクレーメルをも凌いでいるのかもしれない。そして大きく響く音。これは、全身を使った運動によるもの。男性がここまで体が柔らかいと、女性のバイオリニストでは絶対に出せない音になっている。おそらくオイストラフもこのような響きの音を出していたのだろうなあ。

この人の演奏スタイルには自己規律があるのだろうな。一曲目から全力でいき完全燃焼すること。いっさいの手抜きなし。余力を残さない。それゆえに体力と気力を使い果たして、アンコールには応じないのも納得できる。
それと同時に息が詰まるような演奏はよしとしない。大らかに歌うように演奏すること。たまに茶目っ気もみせておくと。

緩徐楽章では、たっぷりと歌もあるし、音楽で表現すべきものは何かがはっきりしているし、演奏に心がある。現在の世界最高水準のバイオリニストと考えるべきなのかもしれない。

それにしても最近のドイツ系バイオリニスト凄いのがどんどん出てきているなあ。
イザベル・ファウスト、ユリア・フィッシャー、ツィンマーマンとかいろいろ。ムターも若い世代に負けじと研究しているみたいだし。

さて、明日もテツラフを聴きにトッパンホールへGoだ。

追記1:
最近の東京交響楽団、随分とうまくなった気がする。弦に厚みがでてきたし、ブラスバンド的だった下品な金管楽器や木管楽器が追放されていて、よく抑制が効いていた。役どころの出、入りがうまくなったというべきか。ホルンとか随分と良いのではないか。一歩ヨーロッパの音楽に近づいてきたように思う。
ただティンパニの叩き方はちょっと気に入らない。もう少し余韻を残して柔らかに止めるようにしてほしい。これではロックミュージックのバスドラだ。とはいえ、これは指揮者の指示なのかもしれないが。

追記2:
ピアニストの児玉桃さんは、突如の起用にもかかわらず大健闘。かなり必死に弾いていたのがわかりましたが、うまくテツラフを引き立てるように弾いてくれていました。でもスタインウェイのピアノって、キンキンして、この曲には合っていないかも。ヒストリカル・ピアノを使ってくれたらというのは、無い物ねだりなのだが、もう少し柔らかい音のでるピアノで代替できないかなあ。スタインウェイの盲目的なプランド信仰もほどほどにしてほしいところ。音楽にあったピアノを選択すべきでしょうね。バイオリンの音にとってはスタインウェイは最悪なピアノです。
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by ralatalk | 2011-05-14 22:56 | コンサート