クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

祝福のとき

「クラシックとしての最高の音楽は何か?」と尋ねられたときに
「バッハのマタイ受難曲」と回答する人は多い。
しかしながら、その最高曲であるマタイ受難曲をコンサートで聴いた人はそれほど多くはないのではと思う。恥ずかしながら私もその一人である。

今回、はじめて生を聴いてみて感じたのは、三位一体ということですかね。
楽器、声楽の配置を左右に分け、大オルガン(神?)が真中に位置するという編成。

左から右へ、右から左へ問いかけがあり、それに応えていく。神と人間の世界。
神の眺める人の生きざまを描いた作品としてはこれ以上の作品はないのでしょうね。
晩年の武満徹もこの作品をピアノの前においていたそうな。




演奏は日本最高の演奏団体であるバッハ・コレギウム・ジャパン
チェロの鈴木秀美さんをはじめとする豪華な布陣で、演奏に隙がない。楽員一人ひとりがバッハを深く理解し、最高のアーティキュレーションで細かい注意を払いながらの演奏は、まさにプロ中のプロのみができる演奏。しかも、バッハ当時の演奏形態と楽器を使っての演奏だし。言うことなし。

それにつられて声楽陣も応えていく。
今回の福音史家のクリストフ・ゲンツのテノールは、これ以上考えられいくらいの完璧な響きとテクニック。このテノールはすごい。ソプラノのレイチェル・ニコルズ、松井亜希ともにすばらしい。

クラシックをながく聴いているが、本当にクラシック音楽を理解している人はほんの一握りだと思う。未だに舶来主義、権威主義が蔓延っていてそれに影響されてしまう迷える子羊の何と多いことか。特に有名かそうでないかが馬鹿みたい重要のようだ。そういう人に、現在最高のバッハは、コレギウム・ジャパンであるといってもまったくわかってくれないのだろうなあ。わかっているのならこのコンサートに来ているはず。そして満席。わかる人はやはりわかっているのだろう。余韻を十分に残し拍手もうるさくならず落ち着いていた。聴き手も精鋭だ。


バッハ・コレギウム・ジャパン第88回定期演奏会
 2010年4月2日 東京オペラシティ
[出演]
鈴木雅明(Cond)
レイチェル・ニコルズ/松井亜希(Sop)
マリアンネ・ベアーテ・キーラント/青木洋也(Alt)
クリストフ・ゲンツ/水越 啓(Ten)
ドミニク・ヴェルナー/浦野智行(Bas)

バッハ・コレギウム・ジャパン(合唱・管弦楽)

[曲目]
 受難節コンサート2010
・J.S.バッハ:マタイ受難曲 BWV244

[アンコール]
・J.ガルス(ハンドル):モテット「見よ、義しき人が死にゆく様を」



今回、マタイ受難曲の終曲のすぐ後でモテットが演奏され、これには意表を突かれびっくりした。当時の演奏習慣の復活とのこと。
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by ralatalk | 2010-04-06 12:55 | コンサート