クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

思慮深く、やわらかく、美しく

本日は、かねてからロック・オンしていたバイオリニストであるイザベル・ファウストのコンサートに行ってきました。

彼女の演奏に興味をもったのが、 NHKのクラシック倶楽部という番組での演奏聴いたときから。私はバイオリニストが登場する番組はほとんど録画しています。かなりの数になるため、聴くのが大変だと思うかもしれませんが、最初の5分くらい聴いて、駄目だと思ったらその番組は削除するので、それほど大変なことではないのです。でも、たまに最後まで聴きたいと思う演奏家もいるわけで、その数少ない演奏家の一人がイザベル・ファウストだったのです。

 彼女の特徴は、昨今流行の古楽奏法を基調とした誠実かつその面白みを説く演奏にあると思っていましたが、今回のコンサートは、別の面を聴かせてもらい、それに感動したわけです。


第691回定期演奏会 Bシリーズ(12/18)

会場:サントリーホール
指揮:ジェイムズ・デプリースト
ヴァイオリン:イザベル・ファウスト

* シューマン:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
* ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調





今回は、シューマンのバイオリン協奏曲。有名だがあまり演奏される機会がないかわいそうな作品。この曲、いろいろと不幸なことがあって、世に出てくるのが遅れたのですが、そのところの昔話は、お勉強という意味もあり、以下でも参照しておいてください。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
ヴァイオリン協奏曲 (シューマン)
イザベル・ファウストという人を思うに、単なる演奏家としてのバイオリニストという立ち位置ではなく、考えるバイオリニストであり、その考えた目標に対し努力を惜しまない人。このレベルにあってなお、聴衆にそれをわかりやすく聴かせてやろうとするサービス精神も持ち合わせる。それでいながらバールマンのような何でも弾けます的な曲芸的ないやらしさがないことも高評価。

「ここまでの美音にするのに弛まぬ努力がありましたけど、それを口にしたら終りです。」

みたいな古き日本人のような毅然としたところを、その音楽に感じることも誠実観が充満ちていて気持ちがいい。

アーティキュレーションの細かい丁寧なつけ方とこだわり。その表現を実現するために音量ではなく、徹底的に音色をこだわった音作り。それにあった柔らい音色へのこだわり。弓元でここまで柔らかい音が出せる人は聴いたことがない。
 BS放送で聴いたときは、古楽アプローチだったので、ビブラートは封印していたのでしょうけど、それにしても、これほど美しくて柔らかいビブラートをもっているとは思ってもいませんでした。現在の最高の音色をもつ奏者の一人であることは間違いなし。生演奏ということもあるのでしょうが、いつもCDで聴いているグリュミオーの数倍美しく感じました。(弁解:グリュミオーの生も結構すごかったのだと思います)

それとテクニックも完璧。演奏困難といわれていた第3楽章も余裕でこなし、音色のバランスまで手抜かりなし。おそらく我が師の求める音にもっとも近いバイオリニストなのかもしれません。

アンコールでは、バッハの無伴奏を弾いたのですけど、このときは、古楽アプローチで演奏。懐の広いところをみせつけていました。前回のソロコンサートに行かなかったことは、不覚。次回はかならずいきますよ。

後のブルックナーは、まあまあ良い演奏でしたけど、濃厚で濃密なシューマンを聴かされたあとでは、少し余韻がさめて興醒めでした。この余韻は残しておきたかった。コンサートを切り上げるタイミングは難しいですね。
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by ralatalk | 2009-12-19 00:04 | コンサート