クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

大おばあ様降臨

本日、美探先生とともに、イダ・ヘンデルのコンサートにいってきました。
御年80歳を越える歴史上の生き証人。これを見逃したら二度と会うことはないだろうとのことで王子ホールに行ってきました。



2009年10月5日(月)
王子ホール(銀座四丁目) イダ・ヘンデル リサイタル
19:00 開演

  1. タルティーニ 悪魔のトリル
  2. ヴィタリ シャコンヌ
  3. ベートーベン ヴァイオリンソナタ8番
  4. バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番ニ短調BWV1004よりシャコンヌ
  5. サン=サーンス 序奏とロンド・カプリチオーソOp.28

イダ・ヘンデルさんは、もっと背が高いと思っていたのですが、かなり小柄でやせ細った人だったの少しびっくり。ピアニストさんに手をもたれて、よたよたとご登場。
まず、チューニング。ピアニストさんが、Aの音をゴツン、ゴツンと叩きつけるようにして何回も音出したのにはびっくり。イダ・ヘンデルは、ゴシゴシとチューニング。耳が悪くなっている。大丈夫なのかと、ここで心配になる。

そして、タルティーニ 悪魔のトリルが始まる。

「う〜、これは駄目だわ」

と思うくらい、ふらついた音。曲が終ったあとで先生いわく
「これは、イダ・ヘンデルという後光のさす仏様を見に来たのだと思って聴かないとね。」
とのこと。

ヴィタリ シャコンヌになると、少しましになって来たのですが、音程も危ないし、引退して20年くらいたつ往年の阪神のバースを懐かしい想い出に耽りながらグラウンドでみているような感じで聴いていました。

ここで前半終了。

ベートーベン ヴァイオリンソナタ8番。この曲は長いので大丈夫なのかと思って聴いていたところ、三楽章あたりからかなり良くなってきました。そのときの顔をみたときに、20年くらい若返っているような雰囲気すらあります。昔は、この人はすごかったんだろうなあという感じで聴いていたわけです。

そして、バッハのシャコンヌです。
さあてどうなるんだと思って聴いていたのですが、これがすごい。イダ・ヘンデルが大覚醒しました。音もヨレヨレとした音でなく、シャキとしています。ビブラートも奇麗にかかるようになってきました。

「え〜、これがさっき弾いていた人なのか?」
と驚き。

良く見ると、この曲の前は、すべて楽譜を見て弾いていたのですが、この曲から暗譜です。暗譜の力おそるべしです。おそらくご高齢なので、譜面を読むのに時間がかかり、これを指と手に指令を出すタイミングがわずかばかり遅れていたのでしょう。これで音がふにゃふにゃだったのでけど、暗譜では、きっちり合うようになりました。

そして圧巻の序奏とロンド・カプリチオーソ。
とても80歳を越えているとは思えない、速いペースでの演奏でした。この曲の場合、フレットの上から下へのアップダウンがものすごいペースで繰り返されますけど、まさに神の手、世界遺産健在という感じでした。
先生の奥様も、
「え〜、こんなにすごかったのですか、何か力をもらった感じがします。」
と感激のご感想。

アンコール曲も左手のピチカートとかフラジオとか派手に入る技巧的な曲でしたが、これも難なく弾きこなしておられました。

外国人ソリストのすごいと思うところは、前半ボロボロでも後半でかなり追い込みをかけてくるところです。そうですね、例えるなら、女子バレーの日本対ロシア戦といった感じでしょうか。1セット目はぼろぼろでも、2セット目は、どんなことをしてもかならず取りに来るという肉食系の迫力があります。

日本人ソリストの場合は、平均して高いレベルの演奏なんですけど、後半での追い込みがないのですよね。これは、計画経済、農耕民族の血というやつかもしれません。

それにしても80歳以上にしてこのパワーはどこから出てくるのですかね。

追記:

イダ・ヘンデルさんの音は、完全なるオールド・スタイル。肩当てはせず、バイオリンを真中ではさみ、バイオリンをかなり下にして弾くスタイル。ビブラートのかけ方が独特なので、この人の音であるとすぐにわかるくらい個性的です。弓は押しつけたりせず、すばやく軽くひっかけて弾くタイプの奏者ですね。
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by ralatalk | 2009-10-06 00:23 | コンサート