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クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

戦争アニメ

HDレコーダー君、調教の甲斐があってか、すばらしいドキュメンタリとか演奏会とか録画してくれるので重宝しているのですが、たまに何でこんなのが録画されているの?というのがあります。最近、HDレコーダー君が勝手に録音してくれたアニメを見ての感想です。



熱狂的なアニメファーンが多いので、あらかじめ断っておきますが、以下に書くことは作品の良し悪しを語っているものではないので、そのところはご了承してください。

そのアニメは、時代背景としては、第2次世界大戦のヨーロッパだと思いますが、国名はすべて架空の国になっています。おもしろい設定だと思うのは、女性も兵士として従軍しており、男性と一緒に戦場で戦います。現在だとイスラエルがそうですね。軍隊には、正規軍と義勇軍があって、主人公は男の方は小隊長、女の方は、軍曹で補佐官という役割。

小隊長は抜群の作戦立案能力があり、部下想いで有能な隊長としてのキャラ。

この小隊長曰く、
「僕の隊では、ひとりも犠牲者は出したくない。」とのこと。ご立派!。

でも見ていて違和感があったのは、男性も女性もヘルメットや防弾具を付けないで戦闘に出撃するし、女主人公にいたっては頭に赤い頭巾をかぶっていて、いつでも私を撃ってくださいという状況。つまり小隊長は部下の安全面をまったく配慮していないことがわかります。
一方、敵側の帝国軍は、ちゃんとヘルメットをかぶっています。わたしならこんな口だけの上司にはとてもついて行けないので、さっさと帝国軍に投降しますね。

他にも、敵の陣地へ何の偵察もせずに勇猛果敢に突撃命令を出したりしていますが、通り道に地雷が仕掛けてあるという注意深さはなさそうです。敵も相当間抜けという設定なのかもしれません。

作者さんは、戦場=恋愛ファンタジーの場所と思って製作しているようです。でも戦争はこんなものじゃないし、冷静さを失ったらそれはすぐに死に直結します。私は多くの戦史を読んでいますが、有能な指揮官というのはごく少なく、有能である期間も短い。大胆な作戦が成功するときもありますが、それは相手がかなり油断しているときに、偶然が重なっての勝利が多いことに驚かされます。民族や国の運命というのは、実に危ういバランスで成り立っているものです。本当に優秀な軍人なら、戦争は極力さけ外交力で解決するものです。
歴史的人物でいうならば、シーザーやアウグストスとかアレクサンダー大王、日本なら徳川家康がそれになりますね。軍人ではないのですが、ビスマルクもすご腕ですね。「賢者は歴史に学び、愚か者は体験に学ぶ」とは良い格言ですね。

私は、ちいさいときに「決断」という太平洋戦争を史実のままに描いたアニメをみてショックを受けました。教科書に書かれていない真実の日本史が描かれていたことです。そこで描かれている戦争は、例え勝利したとしても多くの友人の犠牲の上での勝利というリアリティのある描写です。戦争は悪いという大人は多いですが、何故戦争が起きていまうのかという大人はほとんどいませんでした。結局このアニメも教育的配慮という怠慢で再放送される機会がなかったのですが、最近、DVDとして発売されているようです。

少しネット上にある動画を改めて見てみたのですが、この時代でよくぞここまで戦争の本質を描いているものだと感動しました。ネットでみれるものとしては、シンガポール攻略、加藤隼隊、ルンガ沖夜戦、ラバウル航空隊、硫黄島の戦いがありましたが、勝利とは何か?人の命とは何か?ということ意味を問うてみるには、良い作品だと思います。少なくとも戦争をファンタジーでとらえることしかできない人と、過去の戦争から何かを学んでいる人では、その残虐性に大きな違いが出てくるでしょうね。残虐なる行為を普通の人が簡単にやってしまえる。それが戦争の怖さです。
by ralatalk | 2009-05-18 00:49 | 生きる