クラシック音楽を中心にしたポスト現代音楽のためのブログ


by ralatalk

魔境の神髄

本日、トッパンホールにて、ショスタコの交響曲第15番(室内楽版/デレヴィアンコ編)日本初演コンサートにいって来ました。

ショスタコの15番。数ある交響曲のなかでも最高の技術レベルと、芸術的試練を与える交響曲ですので、コンマスはもちころんのこと、チェロ、ピッコロ、フルート、ファゴット、トロンボーン、打楽器にソリスト級をそろえておかないと曲にならないところがあります。特に打楽器はむちゃくちゃに重要なパートが回ってくるため、複雑なアンサンブルを完璧にこなせないと曲の崩壊に直結。そのためか、スーパー・クラ・マニアの方でも?曲ではないかと言うくらいに、良い生演奏に恵まれる機会がまれな曲です。




100人のソリストを集めるのは不可能としても、少数精鋭のソリストで演奏することによってショスタコの神髄にせまってみよう。もちろん「打楽器パートは全部盛りで」お願いします。というのが、今回の演奏会の大きな狙いです。

「そんなことをいちいち書かなくてもわかっとるよ!」

という人達がトッパンホールに集いました。観客も精鋭です。演奏者と聴衆のガチンコ勝負にいざ出陣!!。

●プログラム

  1. チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調 Op.50 「偉大な芸術家の思い出に」
  2. ショスタコーヴィチ(室内楽版/デレヴィアンコ編):交響曲第15番 イ長調 Op.141a
・ミハイル・シモニアン(ヴァイオリン)
・ ヴァシリー・ロバノフ(ピアノ)
・イェンス=ペーター・マインツ(チェロ)
・竹原美歌(パーカッション)
・ルードヴィッグ・ニルソン(パーカッション)
・ マーカス・レオソン(パーカッション)

それにしても、デレヴィアンコの編曲は実に秀逸です。この曲に関しては謎だらけで、聴けば聴くほど謎が深まっていくのですが、濃い霧の中の海で、灯台の光が見えるような編曲と言っておくとよいのかもしれません。特に打楽器パートをすべて残したというのがずば抜けて秀逸です。

オケ曲の方は、良く聴いている曲なので、頭の中のどこか別のところでフルオケが演奏しているような不思議な感覚になりました。やはり精鋭部隊効果は絶大なものがあり、ショスタコがそばにいて、曲の解説をしてくれているかのような緻密な演奏で、特にコメディとシニカルの対比が、編成が小さいことによってより明確に聴こえてきます。例えるなら、群衆のわいわい言っているところのそばに行って恐ろしい内容のひそひそ話しを立ち聞きするような感じというのが近いですかね。ちかくに行くと、慌てて口を押さえるような緊張感に満ちた演奏。

ひそひそ話の内容がなかなか、ぞくぞくするものだっただけに、あっという間に曲が終ってしまったという感じの演奏でした。

いろいろと考えさせられる部分が多く、曲が終ってしばらく、ぼう然と座ったままになりました。そのためホール案内係に「清掃の時間ですので、お帰りください。」と諭されてようやく席を立ったくらいです。

●曲編成

曲の編成は以下のようになっていました。

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特にトライアングルが3つも使われているというのが驚き。大きさも違うし、形も内側に湾曲している金色のトライアングル2本とコンサート・トライアングル1本でした。ムチというのは、競馬で使うようなタイプを想像してしまいますが、実際のコンサートではスラップスティックが使われます。あとカスタネットが入っていた気がしますが、位置が特定できませんでした。

●ピアノ
 ピアノ奏者のペダリングには実に感心しました。細かく踏んでいるし、ハーフペダルもうまくつかっていますので音が濁りません。さすがに作曲家兼ピアニストの奏者だけのことはあります。ピアノを専業でやっているソリストは、なぜか、むちゃくちゃなペダリングをする人が多いのですけど、作曲家兼業のピアニストはこんなことをする人はほとんどいないのですね。不思議です。

●バイオリン
チャイコフスキーの演奏のときは、音量もなく、外人なのに妙に日本人ぽい、おとなしすぎる演奏だったので、こんなのでショスタコと闘えるのか!?と心配になりました。

「ソリストなんだから、チェロとピアノに合わせてどうするんだ。! もっと個性を出せ」

と思っていたのですけど、ショスタコになってすばらしい演奏になってくれました。 今回は、ピアニストとチェリストが大学教授のような風格で演奏していたので、小鳥の巣立ちのように促されて演奏が良くなってきたというところですかね。もっと舞台経験をつめば良い奏者になって行くと思います。


●チェロ
この人は、かなりうまいし、堂々としているのが特に良い。たまに若いバイオリニストに目配せして合図を送って楽曲をコントロールしている余裕もありました。さすがベルリンドイツ交響楽団の首席チェリストというだけのことはあります。輝いていました。次回はソロでも聴いてみたいですね。

●打楽器
緻密なアンサンブルですばらしいかったです。第一楽章でおもわず拍手していた人もいましたが、その気持ちわかります。要所要所を的確に処理し、難しいところの最後のチャカポコもきっちり決めてフィニッシュ。さすが精鋭。




●おまけ

私の脳内には、ショスタコ料理専門店、料亭(ペレタコイカ)という店があって、よく通っているのですが、メニューは以下のようなものです。

【松】
・交響曲第4番   8,500円
・交響曲第8番   8,000円
・交響曲第13番 <時価> 13,000円〜
・交響曲第14番 <時価> 25,000円〜

【竹】
・交響曲第11番   3,800円
・交響曲第  7番   3,500円
・交響曲第  1番   2,500円
・交響曲第10番  2,100円

【梅】
・交響曲第2番   <季節料理> 1,500円〜
・交響曲第3番   <季節料理> 1,200円〜
・交響曲第6番   1,200円
・交響曲第9番  1,300円

【サービスランチ】
・交響曲第5番    980円
・交響曲第12番    750円

で、15番は、松なのか竹なのか、ずっと迷っている段階。バランス的には竹かなと思っていたのですが、今回のコンサートで、以下の追加メニューが加わりました。

【松】
・交響曲第4番   8,500円
・交響曲第8番   8,000円
・交響曲第13番 <時価> 13,000円〜
・交響曲第14番 <時価> 25,000円〜
・交響曲第15番 (室内楽版/デレヴィアンコ編)<新メニュー> 12,500円

【竹】
・交響曲第11番   3,800円
・交響曲第  7番   3,500円
・交響曲第  1番   2,500円
・交響曲第10番  2,100円
・交響曲第15番  4,600円
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by ralatalk | 2009-01-31 21:17 | コンサート